投稿日: Jun 06, 2012 12:13:25 AM
老人に日本の建て直しはできないと思う方へ
IT関連で安直な起業が非難めいて書かれることがある。しかし現実にはそんなに多くの人が起業指向しているとは思えない。一方で電機メーカーなどの大規模リストラが話題になる。しかし受験戦争を見る限り一般にはまだ大企業指向は強いように思える。高校生は毎日のように塾通いや通信添削をしているのではないか。これらの現象は、日本のヤバさをうすうす感じながらも日常生活を変えることは誰もできていないことを現している。
日本のヤバさとは、いろいろあるが、人生や仕事に関しては、金を指標にし過ぎたことだろう。つまり日本が、そして企業が儲かっていた時代がそれなりに長かったので、そこでは「儲かって目出度し目出度し」ということで、「本当に目指したことが達成されたのか?足りなかったことは何か?」といった将来に向けたハングリーさが次第になくなっていった。現状に満足しない高いビジョンというのが次第に作られなくなったら、人は何をすべきかが見えなくなってしまう。
金だけを指標にしたまま、今度は儲からない時代になると、会計上の帳尻を合わせるために人件費の安い海外で生産するとか、外注化や人員整理するくらいしかやることがない。今まで人材育成とか『人財』とか口ではいっていたところが、人を減らすというのは、財でもなんでもなく「キミたちに会社の将来は任せられない」ということで、そんな企業に就職しようとがんばって、何十社も廻っている大学生は頭がおかしい。大学に入る前に何か重要なことを欠落させていたのだろう。起業を考えないよりは考える人の方がマシである。
日常生活でも仕事でもネットで調べ物をするとか、便利なサービスが受けられることは続いていて、これはリアルビジネスの弱体化につながる。営業マンや店頭で質問してもマトモな答えが返ってこない場合でも、ネットで検索すればわかることがあり、そこにはちゃんとAmazonやリスティング広告があるとなると、店舗はショールームでしかなくなる。役所の窓口でも出向いて手続きするのがネットでできればどれだけ便利かと思う。つまり単純な知識労働というのが数多くあったのが、ネットのセルフサービスによって不要になろうとしているものが多くあり、今リストラした企業は景気が良くなっても人を増やすことはなく、ICTによって仕事の増加をカバーするようになるだろう。
つまりサービスや情報に関して仕事が増える分野というのは、雇用を減らす分野とイコールになりつつある。だからネットで起業というチャンスはまだまだ続くのだが、それによって雇用されない人を増やしていく。実際はネット起業だけではないが、たとえ雇用されるにしても要するに高校までの教育の中で欠けていたこと、つまり「自分のやりたいこと」を考えるとうのは、同時に仕事を作り出す能力に結びつく。企業であれ個人であれビジョンが描けないなら耐えて頑張ることもできなくなる。
このまま行くと日本はどうなるのか? 高校生あたりの意識で、彼らがやりたいことが結局は産業化するのだろう。それは今のネットゲーム・ソーシャルゲームがそうであったように。