投稿日: Nov 08, 2014 2:8:12 AM
パソコンで重大なトラブルを起こす原因が主としてHDDにあるとすると、HDDは信頼のおけるものを使わなければならないが、記事『 大容量化したHDDとつきあう』にも書いたとおり、Googleのレポートでも壊れる半数は何の問題もないHDDであったので、中古よりも新品がよいとも言い切れない点がある。使用レポートからするとHDDには最初に初期不良の壁があって、それを超えたものにはまた厄年のようなものが2-3年目にあり、そこを越えて安定して使えるHDDがよいHDDといえるが、そんなデータは後の祭りである。こういったHDDの生涯はS.M.A.R.Tという使用履歴にデータ化されて残っていることを前記事で書いた。
これからはこういうデータのビッグデータ処理によって、不可解なHDDの挙動も明らかにされていくのだろうが、今でもいくらかはHDDの良しあしの仮説は立てられそうに思う。前職では職場のPCやサーバの事故を起こしたHDDを全部チェックしていたので、ある程度の実体験として故障や修復を身に着けていたが、最近は自分のパソコンが中心なので今日のテラバイト級HDDに関する経験が疎くなったので、折に触れて中古HDDを買ってきてチェックしている。テラバイト級HDDは垂直磁化になっているという点でも数年前以前のものとは振る舞いが異なるのかもしれないと思った。なにより良いHDD悪いHDDの見分けをつけたいというのが主な狙いである。
ネットのオークションなどで販売されている中古HDDにはいくつかのタイプがある。まず「リファービッシュ」という初期不良などでメーカーに返品されたものを修理・調整したもので、B級品とか丸にBマークとかついて、アウトレットHDDとして売られたりしている。これは出戻りという点以外はメーカー製新品と変わらないと考えられる。場合によっては新品よりも検査を一回多く受けている分だけ良いかもしれないが、はっきりとは言えない。値段も新品の2-3割引だろうか?
業者が中古HDDをオークションに出している場合は、個体のS.M.A.R.T情報をチェックして、「正常」「注意」「異常」の区別をしている場合があり、この正常はB級と同じか安めであろう。しかしS.M.A.R.Tの「注意」を「正常」にしてしまっているのかもしれない。S.M.A.R.Tの「注意」は軽度のものから重度のものまであり、軽度のものは「リファービッシュ」の修理・調整のような作業をすると「正常」に戻ることがある。それはWriteZero とか、代替セクターの修復をするツールが存在するからだ。これらを利用すると、自分でHDDの修理・調整ができることになるが、前記事で書いたとおり1日かかりの作業になる。
素人がオークションに出す中古HDDは、S.M.A.R.Tの「注意」が出ているものを自分で修理して「正常」として売る場合がある。そういうことをしている人が「注意」とか「未チェック」として売っているHDDは修理・調整に失敗したものであろうから買う価値はない。出品者の他の出品物を見て小手先細工をしているかどうか判断する必要がある。個人による出品はS.M.A.R.T情報を添付していることが多く、それらの各項目の意味がわかっている人なら判断して買ってもいいだろう。それは結局HDDツールの機能を理解しているのと同等の知識が必要になる。
時たま、データセンターが「注意」の出たHDDをまとめて処分することがあるが、この場合は初期不良の段階はクリアているだろうし、ツールチェックとか小手先チェックはしていないので、使用時間が長いものでなければ自分で調整して使うにはよいかもしれない。
HDDのような磁気デバイスはアナログであり、何かの加減でリードライトにエラーが起こったとしても、そこを何度か書き込みをしているうちに正常に戻ることがあり、そうするツールもある。その点では死蔵されていてほとんど使っていないHDDよりも適度に読み書きされているHDDの方が健全であるともいえる。
これらをすべて加味して判断するならば中古で良品を選び出せるが、HDDヲタクの領域かも知れない。
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