投稿日: Dec 02, 2010 10:52:40 PM
独立することの孤立感を不安に思う方へ
リクルートのOBたOGがあつまるMR(もとリク)会というのがあった。リクルートというと新しいタイプの会社ではあるが、日本が企業社会の時代には、人生の大部分が会社とのつながりという暮らしをしていただろう。今でもほとんどは「人生=会社」というサラリーマンは多く、精神的にも会社依存が強いのが日本の特徴で、「正社員」ということのこだわりは就活でも話題になる。しかしMR会の面白いところはリクルートを卒業した人たちが独立するケースが多いだろうが、同じ釜の飯を食った関係で協力・援助をしあうことができることである。最初からそのようなことを目的にリクルートに入ったわけではないだろうが、企業から独立して頑張れる要素として自分の周りの人脈が重要であることを、お互いが認識している会である。
小さい会社でもリクルートのように斬新なビジネスをしてきたところはあるが、会社が小さいとリクルートOB・OGのような人間関係は無いのが寂しい。それに代わるものは何だろうか? 例えばデジタルハリウッドのような再教育機関は似たようなところがあって、同じ釜の飯を食って勉強したということはあるだろう。大学のある学部から情報メディアに就職する人が多い場合には先輩後輩という関係も生涯続いていく。日本という国が会社社会では無くなりつつある今、個人が指向するところに応じて、同じ志の人が集まれて、そこに何らかの人間関係ができるような場が求められているのではないだろうか。
製造業においても国内でモノ作りをしていた時代は人間関係と仕事の関係がつながって、協力関係を持ってひとつのテーマに取り組んだりしていたが、生産がアジアにシフトすると日本の技術者が金でアジア企業に引き抜かれるようないびつな形になり、一緒に目標を掲げることが減りつつある。記事『デジタルメディアのムーブメント』では、IT化の30年の中で技術系の産業は思ったように伸びなかったが、情報サービスは日本独自のものが育ったことを書いた。それらの会社もデジタルメディアの時代にはアジアや世界に羽ばたくチャンスがあるかもしれない。通信や情報交換の発達の先には、人と接する部分に重点を置いたハイタッチなデジタルメディアの応用が拓けつつあることは、iPhone、iPadなどが急速に人々に受け入れられたことからもわかる。
そういった基盤に対して一段洗練されたデジタルメディアによるサービスを志す人の、パートナーシップやコラボレーションなどの交流、また経営支援・援助、考え方の継承、研鑽、また国際交流などができることで、個人の才覚がストレスや障壁にあまり邪魔されないで事業化につながり、日本全体としてもこういった産業が強くなることを望む。公的なものでこれに相当するものはないかと思ったが、記事『官公庁は旬の情報産業と乖離している』で書いたように、望むのが無理なようだ。これから活動を始めるMEDIVERSEは、「次世代メディアビジネスプログラム」での研鑽を契機にして、新たなメディアビジネス事業者のコミュニティを作っていけたら、という狙いもある。
MEDIVERSEキックオフイベントとして、2010年12月14日(火)に、2011年の動向予測を行います(無料)。