投稿日: Apr 24, 2015 12:26:14 AM
デジタル印刷あるいはオンデマンド印刷機の登場当初からパーソナライズDMとかOneToOneマーケティングという取り組みがあって、その成果が注目されたのだが、データマイニングとか差し込み印刷のような技術面の貢献は思ったほどなかったと思う。そういうデータ加工やプリントの工夫のツールを買い揃えてサービスをするつもりであったところにとってはがっかりであったかもしれない。しかしそれでDMが効果が無いとか決めるわけにはいかない。
DMで重要なのは一方的に送り付けることではなく、顧客との対面折衝の一部分としてDMという印刷物を活用することである。そこでDMを送るだけではなく、コールセンターを使ってDMのフォローの電話を掛けるというようなことがされた。「先日お送りしたDMをご覧いただきましたか…云々」という電話がかかってくるやつであるが、これもあまりよい印象がもたれるわけではない。むしろ、データから絞り込んだ見込み顧客にあらかじめコールセンターから電話をかけて、主旨を伝えて、相手がDMを送ってくれといったところに送るのが効果が高い。
今までのところこれが、パーソナライズDMとかOneToOneマーケティングで結果を出しているところである。こうなるとそもそも送るDMの数が2桁ほどは減ってしまうだろう。またDMも通り一遍のものではなく充実させなければならない。だからあまり一般消費者向けのものではなく、BtoBとか富裕層向けのものに限定されるかもしれない。
コールセンターが電話を掛ける際に、相手の嗜好を探って、どのようなDMを送るかを決めるということもされるかもしれない。いずれにせよパソコンツールによるOneToOneではなく、人的OneToOneである。
このような工夫でどれだけ売り上げが伸びたかどうかという問題とは別に、データの絞り込による見込み客の想定と、電話を掛けた時の相手の反応がどのように相関しているのかを知ることができると、データの絞り込み精度が向上するとか、あるいは不足しているデータが何であるのか見えてくるとか、方法論としてのOneToOneが前進する。おそらく一部のコールセンタは分析が得意だからそういう方向のサービスをしていると思うが、果たしてDMの企画やクリエイティブあるいはプリント・封入・封緘をしているところがどれだけ本気でOneToOneマーケティングに首を突っ込もうと思うようになったのだろうか?
小売業はPOSや予測システムでビジネス効率を向上させることに熱心であったが、DMはむしろ足踏みをしているのではないかと思うことがある。振り込め詐欺も電話を使ったOneToOneといえるが、ダイレクトマーケティングはDM以外のところで発達しているように思える。
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