投稿日: Jan 09, 2011 11:28:56 PM
閉塞を乗り越えるには創造性が必要と思う方へ
ある会社が来年度の事業計画を作るための支店長会議をした際に、アジアの支店長は来年は売上倍増計画を出したのに、日本の本社は昨年並み程度ということだったという。これでは会社の投資先はアジアの拠点になってしまうのは当然だ。つまり儲かっている会社が稼いだ金は日本以外に投資されるような流れが出来上がっている。郵貯も海外での資金運用が10兆円ほどあるとどこかに書いてあった。日本で資金運用をしようと思っても、国債くらいしかないのかもしれない。それに比べてBRICsは数%以上の経済成長があるので、上手に運用すれば国内に投資するよりもずっとよいかもしれないが、そのような方向になると、ますます国内には金がまわらなくなってしまう。
かつて20年前のバブルの際は、それ以前に経済成長していた日本が国際的にも活躍しだしたので、世界の投資家の金が日本に多く流れ込んで起こった。しかしその結果は土地の高騰やレジャー開発のような空回りになって、海外の金は引き上げて失われた10年というのがあった。その後は国内の金も国内に回らなくなっている。統計的に見れば資金運用効率はアジアの方がよいかもしれないが、国内に投資が向けられるような強い魅力が日本の企業活動になければならない。それが見えにくくなっているのが現状である。経営にも創造性が必要なことを、長らく安定していた日本人は忘れかかっているのではないか。
大阪の経済的な没落を分析した話に、東京でやっていることの真似をしたが、東京を凌ぐほどのことは何もできず、投資がことごとく裏目に出て大阪が多くの借金を抱えた、というのがあった。電気自動車であれグリーンテックであれ、海外で盛り上がっていることの後追いを日本が行っても、それを凌ぐ勝算がなければ大阪の裏目のようなことが国際的に起こる可能性がある。太陽電池のようなものは中国で大規模な生産ができるようになっているので、日本がこれから投資をするとなると、よほどそれらとは異なる原理の次世代的なものでなければならないはずだ。IT分野ではネットメディアでのさまざまなビジネスモデルが国際的にブレークしているが、それらの真似を日本ですることも、非常に局部的で短期間の効果しかもたらさないだろう。
民主党でも自由党でも、そういった次世代的なネタを拾い上げるのが苦手で、国内産業の困っているところに補助金や助成を求める人たちばかりが集まる傾向がある。つまり海外に投資してでももっと稼ごうという人とはすれ違っているので、政治はテーマ発掘と金の流れを結びつけるような役割をする必要があるだろう。しかし実際には官庁主導のプロジェクトは産業としては実ったことはないので、官庁が関わらない民間主導での「テーマと金」のコラボレーションという形を実現する方法はないものだろうか。日本人のメンタリティとして負の連合になりがちであることを書いたことがあるが、国でも企業でもリーダーシップをとるべきところがそのようになってしまってはいけないだろう。