投稿日: Jul 10, 2012 12:44:12 AM
マーケッティングの再考をしている方へ
インターネット以前のパソコン通信の時代は従量制が主だったので、利用者が接続料金を払っている中で広告の表示にトラフィックを使うようなことはできなかった。インターネットになって定額制が一般化しためにポータルサイトのような最初に接続するところには莫大な広告価値が生じた。その後はネットのそこかしこに広告が出るようになったが、リアルワールドと違って広告のクリックや視線の範囲などが解析できるようになると、見られていない広告もいっぱいあることが判明してしまった。繁華街を広告ボディの空トラックが徘徊しているように、人前に無理やり広告を出すことが行われるようになった。はっきり言えば邪魔承知の広告であって、この手法は将来どうなることやらと思う。
Googleが大きくなれたのは検索利用者のキーワードに関連したテキスト広告を出す方法を始めたからで、広告クライアントの方を向いて新たな広告手法を開発していたYahooを負かせてしまった。リスティング広告も広告には違いないが、目線が利用者の側から組み立てているモデルであるので、今後も利用者の立場で必要なものを紹介する広告は増えていくことと思う。ただこうするには莫大な量の情報を処理しなければならないので、今のところ自分でデータセンターを持っているようなところしかできていない。
これらの対極にはコンピュータを使わずに人的処理でお勧めをするものがあり、アフィリエイトも成果報酬型の広告である。つまりこの中間の広告のイノベーションというのは薄いように思える。今はアクセスやエンゲージメントの解析が手薄なことをいいことに、ごまかしているネット上の広告露出よりも、特にデジタルメディアの場合は商品そのものの話題性や自サイトの充実の方が効果が高くなりつつある。典型的な販促は何がしかの無料ダウンロードを置くような方法だが、その告知はニュースリリースとか旧来の方法しかない。映画の場合は新作案内のサイトが昔からあるように、かつてなら雑誌が行っていたようなメディアのジャンルごとの紹介やコミュニティの仕組みがもっと開発され、その上で期待感がもてる楽しいキュレーションがされる必要があるだろう。
何でも扱うAmazonはKindleも含めてスーパーマーケットのようなもので、目玉商品や特売には着目できて、日常便利に使えるものの、専門店の風格や期待感は乏しい。しかしこれは誰かに準備してもらうようなものではなく、事業者自身が連携して築いていくべきものだろう。今年の東京国際ブックフェアが低調だったといわれるが、ネットでメディアやコンテンツの売り買いをどうするかというマーケティング視点のイベントがそろそろあってもいいと思われる。アメリカのWeb新聞の有料化もそれなりの進展が見られる。eBookだけでなく広告依存だったWebも含めて、デジタルメディアの自立を考えている人のために、電子出版再構築研究会オープン・パブリッシング・フォーラムをEbook2.0 Forumと共同開催していきます。
デジタルメディアの自立に関する参考:
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2012年7月25日(水)