投稿日: Sep 21, 2013 1:16:6 AM
チャンスはありそうだが…
中国ではCDやDVDは海賊版を買って楽しむのが通常で、日本から中国に行って暮らしている人も、実質上そうするしか購入方法はない。世界的な映画・音楽だけでなく日本の有名なものは大抵あるそうで、トータルに考えると海賊コンテンツの規模はツタヤの比ではないところまで行っている。相場はCDが50円、DVDが100円くらいらしい。でもこれは中国人にとっては日本のレンタルよりも相当高額なレベルで、相対的に見れば他の物価に対して決してコンテンツの相場が値崩れしているわけではないと思う。
人々が日常生活の中で、見たいものを見て、聴きたいものを聴く、あるいは読みたいものを読むことに支払える金額は増えはしないのだから、その一定金額で文化的にリッチな生活ができることを目標にせざるを得ない。とすると有料でもレンタルくらいの支払いで借りるとか利用するようになるだろう。アメリカでのベストセラーなどの電子書籍もこういった文脈にはちゃんとハマっている。図書館や古本の利用もあるので、新刊本を出すだけでは顧客の数が減らないとしても出版社の売上は下がってしまうから、出版社のビジネスとしては新しいサービスを編み出す必要がある。
コンテンツのサービスをどう考えるかについては、記事『難しい顧客目線』では古本屋と図書館にしか行かない読書家とか、ライブ中心の音楽家とか、部活・文化教室なども含めて考えないと本質的なニーズはつかめないことを書いたが、電子書籍でもそれに近いことがソーシャルリーディングのように考えられてはいる。しかし現実に今本を買っている人がそれらを欲しているわけではないので、電子書籍にとってつけたようなソーシャルリーディングのサービスをしても仕方が無い。
サービスの場は書籍流通とは別のところにある。記事『どこでも図書館』『どこでも図書館(2)』のように待合のような時間つぶしにもあるし、学校の授業に組み込まれることもあろうし、グループ活動での情報共有のひとつの形にもなるだろう。これらは1品ごとの販売ではなく、あるユーザーグループへの利用許可というライセンスのビジネスになる。そういうビジネス開発を誰が行うかであるが、専門書の場合は出版社が直接行う場合もあるし、学校とか、待合とか、企業向けとかサービス対象ごとにきっと出てくる。公教育よりも保育園向け、幼稚園向けのような民間のビジネスが先になるだろう。上の写真は手塚プロダクションのマンガをくら寿司で読めるようにしたものである。
コンテンツを各としたサービスの原型は今日いろんなところに既にみられる。有線放送が特定のチェーン店の店内放送番組を作っている場合もある。それがもし面白いならインターネットでラジオ化すればよいように、音楽産業ならば誰かに番組作成をしてもらえば別の利用価値とか収入源ができる。学校や企業なら休憩時間限定でマンガ読み放題というのもあり得るだろう。
しかし、書籍でもCDでもDVDでも、1点いくらのビジネスからはかなり遠い世界である。