投稿日: Jan 22, 2016 12:29:14 AM
マイナンバーがどのように役立つのか、あるいは新たな問題を起こすのか、まだわからないが、昔いわれた国民背番号とは異なるものになると思う。それは時代が変わったからで、今は戸籍から住民票、税務署、外務省、社会保険その他の公共サービス、従業員や顧客など人に関する情報は既にコンピュータの中にあって、それぞれにID管理がされていて、マイナンバーがなくても相当数はプログラムで名寄せができる。つまりかつての国民背番号管理はすでに行われているといってもよいほどだ。
ネット・通信の傍受、郵便のチェック、銀行通帳の閲覧なども、警察や「その筋」の人がやってきて「見せろ」と言われると、民間企業は対応している。郵政などは官庁の一角でもあったので、郵便や貯金や通信に関しては昔から国民の個人情報をオカミに提供していた。
こういう領域は今更マイナンバーなどなくても管理可能であるので、マイナンバーで精度を上げられる分野は別のものになるだろう。そもそもヤバいことを意識的にしている人は、アシがつかないように段取りをするので、マイナンバーになったとしてもすり抜けていくだろう。マイナンバーは一見直接は関係ないと思われる情報から、何らかの意味あることを見つけることにつながるのではないかと思う。
仮定の話として、健康ということを考えると、ある傷病の患者群の治療データを長期にわたって分析するような場合に、関連した医療機関各所のデータを突き合わせるのには役立つだろう。地域が異なって、名前が同姓同名でも、同じIDで処理しやすいからだ。
例えば、薬の副作用とか、薬の飲み合わせの害とかを調べるにのは相当複雑な処理が必要なはずで、分析に必要なデータの数も膨大だろうから、AIの出番になる。AIはチェスや将棋で人間のプロを負かすほどの能力をつけてきたので、そろそろ社会に役立つことをしてもらってもいいはずだ。だから個別の医療機関では手に負えない情報処理をAIにしてもらって、医療機関では患者への処方の際に薬の副作用や飲み合わせ問題をAIでチェックできるようになるかもしれない。
今の高齢者は複数の医院にかかって、10種類以上の薬をもらっていることはザラで、それぞれ担当の医者も飲み合わせが適切なのかどうかもよくわからないで処方している。つま現状では薬が足りないという問題とは別に薬が多すぎるという問題があるはずなのに、それに対して有効な措置はとられていない。
ビッグデータ云々とも言われるが、クラウドとAIの時代になると保険診療を受けている全国民のデータがリアルタイムに分析できるようになる可能性もある。それで医療ミスが減らそう、というくらいの青写真を誰かが描いているのではないだろうか?
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive