投稿日: Aug 27, 2014 1:39:14 AM
業態変革の困難さとして、強い決断力やリーダーシップが必要なことを、記事『 業態変革を安易に語りすぎる傾向』に書いたが、それはいろんな業者が協同して仕事をする場合だけではなく、社内の些細な変革でも試されることである。それは殆どの人は仕事のやり方を変えることを嫌がるもので、変わった場合のメリットを考えるよりも不都合点を考え出してしまうからである。今日ではコンプライアンスが盛んに叫ばれるようになったので、自社に直接関係した不都合の予測を超えて、「反対のための反対」がやりやすくなっている点も悩ましい。
それも今まで一緒に仕事をしていた仲間がネガティブキャンペーンに揺さぶられたり、ネガティブな考えになることだってある。だから変革の推進者は孤立する可能性があるし、全く孤立してはやっていけないので、メリットの提案と同時にネガティブ対応の想定問答を考えておいて、人の離反を少なくして進めるように配慮する必要がある。
前職では、企業の経営陣が何か社内で変革をしたい時に、社内の説得をする必要があるので、社内研修とか職場の診断とかを請け負うコンサルをしていた。日本では会社なり組織の進むべき方向は答えが出ているにもかかわらず、同意が得られないとか盛り上がりがないという理由で変革が頓挫するケースが多い。eJapanなどもその典型である。
前職場を創立した元会長は、新しいことをするには51%の賛成を得なさい、といっていた。経験上のことであろうが、これはなかなか難しく、特に発案者が天才君の場合は、凡人がメリットを納得できるところまで解きほぐして解説してくれる人が居ないので、せっかくのプランが宙に浮いてしまう。組織における変革の実行プロセスはコミュニケーション問題に行き着くのである。
ここで止まってしまわないためには、トップがお金を自由に使えるならトップダウンで強引に進めるとか、トップの理解が得られない場合は実行部隊が自力でやるしかない。いずれの場合も相当の忍耐と根性が必要で、実際問題としてはそれが正道なような気がする。つまり変革を提案して、みんなに「イイネ」と言ってもらえることは稀であるということだ。
社内でアンケートしてみんなが「このようにしたらよいのでは…」というのは往々にして他社の先行事例の真似であって、それをやっても同じような成果を出すことは、もはや期待できない場合が多い。巷で多く行われているビジネス関連セミナーも同様である。それらで聞きかじってきたことを肥やしにして、自分なりに考えるプロセスに入っていける人が非常に少ないと言えるので、変革は民主主義的にはできないという点でも、組織内コミュニケーションが最優先にはできない。元会長の51%案というのは、49%は理解してもらえなくてもやれということで、コミュニケーションはほどほどにしておけという意味だと解釈していた。
このことは複数の業者が協同して新しいやり方に取り組む際に、脱落者が出てしまう場合があるが、それもその会社の内部崩壊によることがあり、ステークホルダを束ねるリーダーシップが問われるところである。
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