投稿日: Mar 06, 2011 10:47:10 PM
動画は盛り上がるのだろうかと思う方へ
某ガラケーの広告でHDムービーが撮れて編集も可能というものがあったが、ものすごくマニアックに思える。確かにどこの家庭にもビデオカメラくらいはあるだろうが、動画をちゃんと撮って編集していると思える人は少ない。イベントや観光スポットへ行くとデジタルカメラの普及は凄く、書店でもデジタルカメラの雑誌はたくさんあるが、ビデオの雑誌は増えていないように思える。今はデジタルカメラでも綺麗な動画が撮れて、ほぼTVCMレベルのものも作ろうと思えば作れるのだが、それは非常にマニアな世界である。
これは直接的には静止画に比べて動画の方が撮影後の処理に手間がかかり、また設備としてもそこそこの能力のパソコンがないと不便であることが理由だろう。ビデオカメラのマニュアルには、カメラ自身の機能で動画の切り貼りのやり方も載っているが、ノンリニア編集とは比べ物にならない操作性の悪さである。しかしビデオ編集のためにパソコンに土俵を移すとなると、とたんに敷居が高くなる。それはパソコンのリテラシーがないとデータ管理とか難しく感じるからだろう。結局パソコンとビデオのANDをとると、できる人口はうんと減ってしまうのだろう。
さらに動画を人に見せるようにするには、シナリオ力も必要になる。子供の運動会のように、そもそもプログラムが決まっている場合は時系列に編集してもよいだろうが、家族旅行のようなものをそうしても本人たちにしか分からないものになってしまう。たとえおじいちゃんおばあちゃんに見てもらうにしても、静止画、テロップなども含めて構成を考えなければならない。実際にはビデオの編集作業以上に構成や素材造りに手間暇がかかってしまうので、ケータイやカメラに切り貼り機能があったからといって編集が容易にできることにはならない。
こういった理由で、一人で全部を考えて作業もする人は極めて少なく、ビデオ作品がたくさん出てくるようなブレイクにはなっていない。しかし学校のクラブ・サークルや、家族でも分業をしてチームでプロジェクトとして取り組むと話は別である。つまり映画の脚本・監督・カメラ・照明・道具・音声・編集…という役割分担のミニ版をみんなが想定して、それぞれの能力の得意なところを持ち寄ってやってみたことがあるが、参加者が初体験でもかなりできるものである。こういったプロジェクトにソーシャルメディアが役立つと思うのだが、それはまた機会を改めて書く。ともかくその中心はやはり監督で、アマチュアでも演劇経験のあるような人がいるとよい。
日本はAV機器のハードでは先行しているのだが、こういった映像作成経験を大衆的に広めて行かなければ、次のAVニーズはつかめないのではないか。今ゲームでもCGでかなり精密な表現ができるようになった。次の段階は脚本や監督以外はデジタルとCGが主流になり、実写は演出のために付け加えられる(漫画の背景のように)ものに向かっていて、AV機器の比重は下がってしまうかもしれないからだ。