投稿日: Apr 09, 2011 12:33:28 AM
ネット利用者の中に顧客像を見出したい方へ
ネットでのビジネスが簡単に始められるとはいっても危うさを抱えている。何かスペシャルな商品が話題になって売れても、ある段階で飽和して下降する一方になることがある。専門店的なところは次々話題の新商品を投入することは難しく、ファンを獲得してクチコミで細く長くビジネスをしたいと考える人が多い。しかしネットでのクチコミは思ったほどコントロールができない。強力なファンが居るようなところは除いて、商品の評価を書き込んでくれるような顧客は一般には何千人に一人とかしかいないので、かなり大量生産でないと常時の書き込みは無い。がんばってtweetしても流れ行くタイムラインにすぐに埋もれてしまう。お店のWeb以外にショッピングモール出店、リスティング広告、メルマガ、QRコードとケータイサイト、共同購入クーポンなどあの手この手の販促手段が出ても、それらは誰でもできることだから特別効果はないのだが、やらなければならないことが増え続けるとかえってネットショッピングは負担が増えていくのではないか。
つまりネットビジネスを地道に拡大するには相当ネットリテラシーも高まっていかないとつらいだろうと思える。ネットビジネスは店舗はいらなくても、それを埋め合わせるだけのネットでのコミュニケーションの達人であることが求められるので、ある意味ではハードルは高い。そのようなECのハードルを下げる解としてはebayのようなビジネスの仕掛けがある。ヤフオクも楽天もまだebayの域には達していない。クチコミに関してはソーシャルメディアの普及に沿って良い方向で進み、通常はfacebookの「いいね」ボタンくらいの緩さのものに収斂していくのかもしれない。
ネットでのコミュニケーションとは店舗では看板・陳列・接客に相当するもので、ネットビジネスでもそれなりの企業が手がける場合は広告販促費によって効率的にコミュニケーションをしようと考える。そこでネット広告は伸びているのだが、ネットだから利用者のログが取れて有効な広告・販促ができているかどうかは、きわめて疑わしい。かえってページビューとかコンバージョンという数値が得られるために、広告効果が上がった下がったと一喜一憂しがちであるが、そもそも商品にふさわしい客が自社サイトや自社広告の周りに集まってきているのか、それとも狙う顧客はどこか違うところに出没しているのか、ということが確認できなければ数値を気にしても意味が無い。これはネットでは顧客の顔が見えないからことさら気をつけなければならないことである。
記事『見えにくいソーシャルメディアの効用』では炎上マーケティングが有り得ないことを書いたが、こんなバカげたことに取り組む人がいるのはPVに大変な価値があると思っているからである。数の大きさが問題になるならばマスメディアを使うのが一番で、事実TV広告の中でもネット系のエンタメ広告の比重は増えている。人通りの多いところに店を出したほうが儲かるのは一般論としてはそうだが、自分の店のキャラクタにあう顧客像をきちっと設定することが先決である。そこでネット利用者の中で自分に会いそうな顧客がどんなメディアでどんな情報に接しているかという日常のメディアやコンテンツに対する意識を重視する必要がある。アスキー総合研究所が実施した国内最大のネット・コンテンツ調査MCSはそういった顧客の行動パターンの仮説をチェックするツールになるもので、これを元に現在ネットに見られる新たな商流の兆しを分析するのは多くの気づきがあって楽しい。
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