投稿日: Feb 20, 2012 12:55:41 AM
新規開発に焦ってしまいがちな方へ
すでに衰退期に入ってしまってから、次のビジネスの種を蒔こうという、手遅れ感の強い日本企業が多い。何が手遅れかというと、新たなビジネスが育つまでの試行錯誤に耐えられないで、あせって結果を求めようとするので、最初によいコンセプトがあったとしても、成長期に乗る前の段階で挫折してしまいがちだからだ。このキャズムとか呼ばれる時期は、どこかからお金を借りれば乗り切れるものではなく、いろんな実現可能性が出てきた中から、独自の嗅覚で成長し利益の出るモデルに絞り込んでいく戦略性が重要である。
下のグラフはビジネスのライフサイクルカーブに、いろんな要素を置いてみたものを、縦に通して見れるようにしたもので、最上部は市場、2番目は利益・単価、3番目は広告、一番下は戦略性である。
メディアのビジネスがIT基盤の上で行われるようになって、ドッグイヤーとか変化が激しい分野になったことの意味は、上記のライフサイクルがかつての10年単位ではなく2-3年単位で遷移することを前提に行動しなければならないことである。たとえ同じビジネスとかサービスのコンセプトを持っていた会社が複数あったとしても、成長期に差し掛かる時の戦略性で、リーダー企業、2番手、淘汰される会社に分かれてしまうことだ。ベンチャービジネスはアイディアコンテストで入賞するのが目的ではないはずで、キャズムを越えられるかどうかは戦略性や戦略パートナーに左右される。
このライフサイクルの節目では同じサービス・同じ製品でも市場・単価・利益・販促は異なって行くので、各ライフサイクルに応じたマネジメントへの切り替えが必要になる。これはベンチャーでなくてもいえることだが、従来数年単位で節目がくるつもりでいたメディア企業にとっては、早い変化に慣れていないだけ困難が大きいことになろう。そこでベンチャー企業のような機動力のある会社が、この節目の変化を助けるというビジネスも起こってくる。おそらく実戦経験の少ないベンチャーにとっては、ゼロからスタートするよりも、既存ビジネスとタイアップしながら新たなシステムやサービスを作って行くことで、このライフサイクルの理解が進むのではないだろうか。