ちんちん生えてきた(07)

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■品川 日本  8月19日


 夜遅く、ミフユはハルカの部屋を訪れた。ハルカは部屋の明かりを消して待っていた。マナツはもう寝ているはずの時間だ。

 ミフユはベッドの上に座っていたハルカに近づいてキスをした。ハルカがミフユの体に両腕をまわし、キスを返す。ミフユはハルカのネグリジェを脱がし、自分のパジャマも脱いだ。二人とも下着はつけていない。

 二人の股間には女性にはないはずのものがそそり立っていた。キスで舌をからめながらたがいのモノに触れる。熱い快感が下半身から湧き出した。

 お盆休みが終わったら一緒に病院に行って診てもらおう、と相談しあっていた。しかし、どこの病院の何科に行けばいいのかわからない。それで二人で自分たちのモノをもっとよく観察してみようということになり、そうしているうちにどちらからともなく、そういうことになってしまった。触ってみたり、こすり合わせてみたりすると、体がとろけそうになる。いい年をした大人なのに同性の友達とお医者さんごっこをしたあげく、未知の快感の虜になってしまったなんて……。その後ろめたさと、この快感の誘惑には勝てず、まだ病院には行っていなかった。かわりに夜ごとのレズ行為である。

 ミフユはハルカを背後から抱きしめ、右手でハルカのソレをしごいた。自分のモノはハルカの股に挟まれていて、腰の動きで刺激する。ハルカのアソコからしたたる愛液が硬く怒張したクリトリスを濡らす。

 左手でハルカの胸をもみ回し、指で乳首をくりくりといじる。耳元で卑猥な言葉をささやきながら、時折フッと息を吹きかける。

「あううぅ……、ミ、ミフユぅ……、イイ……、イイ……ッ」

 ハルカが声を出しはじめた。その声のトーンが次第に上がっていく。ミフユもハルカの素股でクリトリスをしごき、どんどん高まっていく。

「そんなに大きな声を出しちゃダメだよ、ハルカ。マナツが起きちゃうよ」

 マナツとはあれ以来ギクシャクしたままだ。マナツには自分とハルカがセックスしていることは内緒にしているし、まして二人ともおちんちんが生えているなんてこと打ち明けられない。マナツも何か普通ではない雰囲気を感じ取っているようであったし、このままではいけないように感じてはいたけれど、ミフユはどうすればいいのか迷っていた。

 いまはただ何もかも忘れてハルカとのセックスに興じていたかった。

「あ……、ミフユッ、イクッ……、イクッ……、ああ……、アアッ……!、……!!」

 ハルカがひときわ大きな喘ぎ声を発して背中をのけぞらせ、全身を硬直させた。一瞬遅れてミフユも達した。

 しばらく肩で息をしていたハルカは、やがて落ち着きを取り戻し、幸せそうな笑顔でミフユにキスをした。

 二人のモノはまだ硬く張り詰めたままだった。男の人は射精が終わるとすぐに縮んでしまう。溜まっていた精液を吐き出して風船のようにしぼんでしまう。でも、二人のモノは硬さを失わない。その気になればいつまでも勃起させておけるし、平常心のときならいつでも体の中にしまうことができる。不意の性的刺激で自分の意思に反して飛び出してしまうのは男の人のアレと同じだけど、コレはアレではない。

 クリオナの快感は終わったあとですぐに消えてしまうものだけれど、この大きくなったクリトリスで得られる快感は、普通のクリオナよりもずっと強烈で、ずっと長く余韻がつづく。快感のタイプはクリイキに近いけど、余韻がつづくのは中イキしたときの感覚に近い。ミフユはアキトに開発されて中イキの快感も知っていた。クリトリスでイクときと中でイクときのイキ方はぜんぜん違う。

 コレでイキながら同時に中イキもできたらどんなに気持ちいいだろう。ハルカと協力すればできるかな、たがいのアソコに挿入し合えば……、と思いかけて、コレとアソコの位置関係からしてちょっとムリだな、と思い直して苦笑した。

 そのときハルカがためらいがちに、

「ねえ、ミフユ。男と女のセックスしてみない?」

 と、ささやいた。

 同じことを考えていたんだな、と思ってミフユはうれしくなった。ミフユもそれを試したいと思っていた。

 女にはできないはずの挿入がいまのミフユとハルカならできるのだ。

「どっちが先にする?」

「今度はわたしにやらせて。さっきはミフユの方がリード役だったから」

 ミフユは黙ってベッドに横たわった。膝を立てて股を開く。一度イッているからもう前戯は必要ない。アソコは濡れ濡れだ。

 ハルカがミフユに覆いかぶさり、両手をミフユの脇の下に入れて肩を抱いた。

「ミフユ、可愛い。なんか緊張する……」

「あ、あの……、ハルカ……、その……、やさしく……お願いします……」

 窓から差し込むかすかな街明かり。ミフユの顔が真っ赤になっているのはハルカには見えなかった。

 ハルカがゆっくりとミフユの中に入っていく。ミフユはちいさくうめいた。両手でハルカの肩をつかんで目を閉じた。アソコを押し広げられ、ハルカのクリトリスが奥の方へ押し込まれる。

「あああ……」

 アキトに挿れられたときとはぜんぜん違う。気持ちが溶け合っていくのを感じる。一つになれる喜び。愛しい気持ちが弾ける。

 奥まで挿れるとハルカがやさしく動きはじめた。女同士だからなのか、それともハルカだからなのか、ミフユがしてほしいと願ったとおりの動き。

 気持ちいい。

 アキトとしたときよりずっと気持ちよかった。ハルカも顔を歪めて快感に耐えている。二人の乳房が触れ合い、ぷるんぷるんとぶつかり合う。オーガズムの大波が繰り返し襲ってくる。

 男の人とのセックスであれば射精によって終わる。けれど、女同士には終わりがない。ハルカは何度もイッて、ミフユを何度もイカせた。いつまでもミフユの中を堪能しつづけた。ミフユは何も考えられなくなり、ハルカと抱き合い、自らも腰を動かしつづけた。

 やがて、二人とも疲れて動けなくなり、脳内麻薬に溺れたまま、なかば気を失うようにして眠りに落ちた。

 翌朝ふたりが目を覚ましたとき、すでに日が高く、カーテンを開け放った窓から身を焦がすような陽光が差し込んでいた。

 ミフユとハルカはベッドの中で見つめ合い、昨夜のめくるめく体験を思い出して微笑んだ。

「ハルカばっかり挿入してズルい。次はあたしの番だからね」

「ゴメンね。ミフユのアソコがふわふわトロトロですごく気持ちよかったから」

「バカ。ハルカのえっち」

 ミフユが顔を赤くして拗ねるとハルカがニッコリ笑っておでこにキスをした。

「ねえ、ミフユ。わたし、マナツのことが好き。わたしたちのこと、あの子に黙っているわけにはいかないと思う。わたしたちはきっと例の病気なんだろうし、マナツに伝染ったら大変だもの」

「あたしもマナツのことが好き。あたしはあの子に嫌われてしまったのかもしれない。ハルカとこんなことしてるって知れたら、マナツはあたしたち二人とも嫌いになるかもしれない。でも、黙ったままでいるわけにはいかない」

 二人は打ち明けようと決めた。おちんちんが生えたこと、レズビアンセックスをしていること。マナツは出ていってしまうかもしれないし、病気が伝染らないよう二人が出ていくべきなのかもしれない。どうなるかはわからないけれど。

 ミフユは自分とハルカの股間にそそり立っているソレを改めて見つめた。男性のモノとは違って萎えることがない。

「ねえ、ハルカ。フェラチオしてみよっか。ハルカはしたことある?」

 そう、おどけて声をかけたときだ。

 そっと部屋のドアが開いて、マナツが顔をのぞかせた。

「ハルカ? 起きたの? ミフユがいないんだけど――」

 そう声をかけてきたマナツの目に入ったのは、ハルカのアレを舐めようとするミフユの姿だった。

 固まったまま誰も声を出せなかった。マナツはミフユの顔とハルカの股間に生えているモノを交互に見比べ、同じモノがミフユの股間にもあることを認めた。それからハルカとミフユの顔を見ると、震えながら涙を流し始め、その場に崩れ落ちた。

 ミフユはびっくりしてマナツのもとに駆け寄った。

「マナツ、驚かせてゴメン。ちゃんと説明するから――」

 マナツは夢ではないことを確認するようにミフユのソレを改めて見つめ、それから顔をあげてミフユを見つめた。

「おちんちん……、生えてる……?。ミフユ……。ハルカも……。おちんちん……、わたしだけじゃなかったんだ……」

 その言葉にミフユとハルカは顔を見合わせた。そして、二人でマナツの穿いていたハーフパンツとショーツをずり下げた。

 マナツの股間におちんちんが生えていた。ミフユのモノより小ぶりだが、形は立派にアレだ。

「マナツもこうなってたなんて。いつから?」

「今月の初めから……。誰にも言えなかったけど、このあいだ、お風呂上がりにプリンを食べてるとき、突然アソコから飛び出してきて……。わたし、ミフユに見られたと思って、どうしたらいいかわからなくなって……。もうミフユに嫌われたと思って……」

 泣きじゃくるマナツをミフユが抱きしめた。

「マナツ……、もう大丈夫だよ。怖かったよね。あたしたち、三人とも誰にも言えずに同じことで悩んでいたんだね」

 背中をぽんぽんされているうちにマナツが落ち着いてくると、ミフユとハルカはホッとした。

「ねえ、ミフユ。やっぱり病院に行った方がいいと思う。マナツもそう思うでしょ? 感染すると男になっちゃうなんて都市伝説かデマだと思ってたけど、三人とも同じ症状なんだもの。きっと、世界中で同じように一人で苦しんでる子たちがいるよ」

 ハルカの提案にミフユは黙ってうなづいた。

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