「美星……、もしお前が今日のことで俺に礼を言うために、あるいはほかのどんな理由からだろうと、俺のために無理しているのだとしたら、それは要らぬ気遣いだ」
「……」
したくないと言われたらどうしようという不安がよぎった。
「そんなことをしなくても、俺たちはもう互いに信頼関係を築けていると思う」
「無理してるわけじゃないよ。あたしは……、縛られてローターで気持ちよくさせられる体験をしたい。あの日みたいに。あたしはMだから、そういうことをもっと知りたい。でも、怖いから……、信じられる人とでないと……。せ、先生とだったら……」
恥ずかしくて最後の方はうまく言えなかった。
先生はしばらく考えてから、あたしの肩を抱き寄せた。
「わかった、美星。恋人のように縛って、やさしくいじめてやろう」
あたしはベッドの上に脚をのばして座り、先生に言われるままに手を後ろで組んだ。先生はふたつに折ったロープを何回かあたしの手首に巻きつけ、きつくならないよう注意しながら縛った。先生が縛りに慣れているのは最初のときで分かってる。どんなふうに練習したのか知らないけど、先生は遊びで女を買うタイプじゃないから、学生時代にマニア同士で互いを縛る練習をしたとかだろうか。想像すると笑える。
先生はあたしの手首を縛ったロープが、締め付けないけど解けないことを確認した。そのロープを引いてあたしの左腕、肩のすぐ下あたりに引っ掛けると、乳房の上で二重に巻いてから、後ろのロープに引っ掛けてこんどは乳房の下で逆方向に二重に巻いた。
手首と二の腕を固定され、もう動かせない。
鏡に映った姿は、誘拐されて監禁されている哀れな女の子そのものだ。
ロープで縛られたところが静かに熱を帯びてきている。怖いのと恥ずかしいのとで興奮し始めているんだ。
先生は、脇の下にロープを通して、胸の下を縛っているロープを固定するように後ろで縛った。さらに後ろからロープを右肩にかけて前に回し、乳房の下のロープの真ん中に引っ掛けて左肩に回し、後ろで縛った。
ブラウスのボタンを外され、胸をはだけられた。
縛られたことで乳房が強調される。こうされることを見越して、きょうはかわいいレースのノンワイヤーブラをしてる。
「きれいだ、美星」
先生が回転ベッドのスイッチを入れた。ターンテーブルに載せられてショーケースに入れられた気分だ。
恥ずかしさで体がじんじんする。
先生は別のロープを取り出すと、ミニスカートをまくりあげた、あたしはベージュのパンストの上に白のフリルソックスを履いていた。先生はパンストを脱がすかどうかちょっと考えてから、そのままにすることに決めたらしい。ロープで結び目を作り、その結び目がアソコに当たるように、ふんどしのように股間を縛った。そしてローターをアソコに挟でスイッチを入れた。ほんのかすかな振動がパンツごしに伝わってくる。すぐにイカないよう最弱モードにしているところが凶悪だ。
「先生……、したくなったらしていいから……、服も破いていいから……」
頭がボーッとしてきたので、いまのうちにそう言っておいた方がいいと思った。
先生がキスしてくれた。
胸の奥がせつなくて、涙がこぼれた。
それからM字開脚で縛られていくのを、ぼんやりと感じていた。
縛りが完成すると、先生は満足げにあたしを眺め、仕上げにハンカチで猿ぐつわをした。
鏡の中に着衣緊縛された少女が映っていた。
先生はベッド脇に座って、ターンテーブルの上の縛られた少女を見つめた。
胸がドキドキして体が熱い。
息をするたびにロープがこすれて、快感があたしをさいなむ。
止まない雪がすこしずつ積もって最後には家を押しつぶしてしまうように、かすかな快感の波が徐々にあたしの体を犯していく。いつの間にか高原状態に入り、何も考えられなくなっていく。もうコップの水があふれそう。
藤堂先生は何もせず、ただじっとあたしを見てる。
頬を紅潮させて、涙を流しながら、ときおり体をピクピクさせる少女。
高原状態を抜けて、高い空へと舞い上がる。
中イキとも外イキとも違う感覚が全身からあふれだす。
あたしはM字開脚の姿勢のままベッドの上にころがり、痙攣しながら悶絶する。
今回もおしっこを漏らしてしまった。
気がつくと先生がロープを解いているところで、あたしがねだると激しいキスをしてくれた。そのキスでたちまちイッた。あたしも先生を抱きしめて胸を押し付け、舌を吸い出してレロレロと愛撫を返した。それでまたイッて力が抜けてしまい、先生の腕の中に倒れ込んだ。やさしい快感に包まれて、深く息を吐き出した。
「藤堂先生とのキス、すごく好き。ねえ、あたしとしなくてもいいの?」
「したいのは山々だが、いまのキスで射精しちまった。なかなかうまくいかないな」
[援交ダイアリー]
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