それを聞いてあたしはパニックを起こした。悲鳴をあげて手足をバタバタさせた。
「いやぁぁぁっ! それだけはいやです! お願いします。何でもしますから許してください。ビッチの汚いおまんこでよかったら使ってくださいッ。でも、ナマは許して」
「やーだね。そうか、きょうセックスしたら妊娠しちゃうのか。いいこと聞いちゃった」
「やめてよぉ! 誰か助けて! 田辺さぁん! ――きゃっ」
またビンタされた。
「助けなんてこないんだよ」
泣き叫ぶあたしを嘲笑いながら、本多が腰を前に押し出した。アレがあたしのアソコにめり込みそうになった。そのときソレがつるんっ、と滑って、アソコからはずれた。
「あ、あ、ああっ!」
本多が泣きそうな声をあげて、あわてて自分のモノを押さえた。あたしのおなかから胸にかけて、汚らわしい精液が飛び散った。早漏が暴発させたんだ。
精液が脇腹にとろとろと垂れていく感触。精液の放つ悪臭。気持ち悪くてたまらない。
本多はしばらく放心していたけど、おもむろにあたしの髪をつかんで引っ張った。あたしが上半身を起こすと、自分の股間にあたしの顔を押し付けた。
「しゃぶって元気にしろ、ビッチ!」
アレが顔に押し付けられ、口や鼻のまわりに精液をこすりつけられた。フェラチオを拒むと、脇腹を殴られた。咳き込んだあたしの口にむりやりアレが突き入れられた。
半立ち状態だったソレはすぐに硬くなってきた。
「うぐっ……、ぐえっ……」
のどを突かれてえずいた。苦しくて顔を引き離そうとしたけど、本多が両手であたしの頭を押さえ付けている。アレを口に含んだまま嘔吐しそうになり、咳き込んだ。本多は構わずあたしの頭を動かして、強引にピストン運動をさせた。
精液がのどの奥に放出された。
「うえっ、……あぐ、ゴボッ、……ごほっ」
口から精液があふれた。咳き込んだせいで、鼻から鼻水に混じって精液が飛び出した。
「また出ちゃった。失敗しちゃったなぁ。でも気持ちいいからいいか。ぼくたちには時間がたっぷりあるんだからね」
本多はあたしの頭を押さえたまま離してくれない。
涙と鼻水とよだれと精液とで、顔がくしゃくしゃに汚れていた。
死にたい。こんな男に孕まされるくらいなら死んだほうがいい。
感覚がなくなっていく。
自分が自分ではないような。
まるで別人が暴行されている様子をかたわらで見ているような。
もしかしてあたしは死にかけていて、幽体離脱する瞬間なのかもしれない、と思った。
――その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
いまの状況に比べたらあまりに場違いなほどありふれた日常の音。
一瞬で現実に戻った。頭がフル回転して、まわりの状況を把握しはじめた。
ここがどこかはわからない。でも、どこかの家には違いない。玄関があって、その向こうには外の世界があるんだ。
ふたたび呼び鈴が鳴り、つづけてドアを乱暴に叩く音がした。音は意外と近い。
恐怖に負けて命乞いをした自分を恥ずかしく思った。
あきらめるな、沙希。闘うんだ。
ふと手に触れた冷たい感触。ハサミだ。あたしを脅すために枕に突き刺したあと放置されていたものだ。
本多の様子をうかがった。あたしの頭を股間に押し付けたまま動かない。呼び鈴を押した人に気配を悟られるのを恐れてか、じっと息をひそめている。
ハサミを手に取って、右手をつないでいるロープを切った。本多は気づいていない。チャンスだ。あたしはためらうことなくハサミを本多の脇腹に突き刺した。
「ぎゃああああっっっ!」
本多が悲鳴をあげてあたしを離した。咥えさせられていたものを吐き出すと、左手と両脚をつないでいたロープも切った。本多は脇腹から流れだす血を見て、真っ青な顔でわめいている。あたしはハサミを持ったまま全裸で部屋を飛び出した。そこは狭い廊下で、数メートル行ったところに玄関があった。造りからするとマンションのようだ。
ドアをたたく音にまじって本多を呼ぶ声が聞こえた。
間違いない。田辺さんだ。助けにきてくれたんだ。
玄関へと駆け出したあたしは、うしろから足首をつかまれて転んだ。
あたしは大きく息を吸い込むと、ありったけの声を張り上げて叫んだ。
「きゃああああっっっ! 助けてーっ!」
悲鳴が聞こえたのか、ドアをたたく音がやんだ。
助けてもらうためにはドアのロックをはずさなきゃ。
「このガキがぁっ!」
怒りに顔をゆがめてのしかかってこようとする本多の鼻を、踵で思いっきり蹴った。本多が悲鳴をあげて手を離した。あたしはハサミを振り上げると、床についた本多の手の甲に突き刺した。
「うぎゃあああっっ!」
[援交ダイアリー]
Copyright © 2012 Nanamiyuu