第3話 はじめてのセックス (08)Fin
体の奥に痛みとは別の感覚を見つけた。
セックスの快感。
はじめてだけど、感じてるのかな、わたし。
確かめようとして意識の手を伸ばす。
捕まえたと思うと、するりと逃げてしまう。
栄寿さんの動きがだんだん速くなってきた。それにつれて、快感らしきものがはっきりしてくる。
気がつくと、自分でも腰を振っていた。
なんか、気持ちいい。
痛みの中のかすかな快感を捕まえたんだ。
きっとこれから回数を重ねるにつれて大きくなっていくんだろうな。大切に育てていきたい。もっともっと気持ちよくなれるように。
栄寿さんの動きが止まった。ぎゅうっと強く抱きしめられて、愛情のこもったキスをされた。わたしも栄寿さんを抱きしめて、舌を激しく絡みあわせた。
わたしの中で栄寿さんがビクンビクンと震えている。
栄寿さんの精液が注ぎこまれているんだ。
すごく幸せな気持ちだった。
栄寿さんがわたしから出て行くと、アソコから精液がドロドロと垂れてくるのを感じた。栄寿さんはティッシュを取って、わたしの股間を拭いてくれた。まだ敏感なアソコに触れられるたびに、わたしの体が震えた。
「はじめての相手が栄寿さんでよかった。愛してるわ」
「うん、愛してる、莉子ちゃん。大好きだよ」
初体験したんだ。
そう思ったら、急に込み上げてくるものがあった。感きわまって、わたしは声をあげて泣き出してしまった。
栄寿さんはベッドの端に腰掛けて、手を伸ばしてわたしの髪をなでてくれた。
そのとき、もなかさんとあずきさんが、慌てた様子で部屋のドアを開けた。わたしの泣き声を聞きつけて、何事かと思ったんだろう。たぶん、ふたりとも栄寿さんが間違いを起こさないかと心配していたのに違いない。
果たしてふたりのメイドさんは、ベッドの上で裸で泣いているわたしと、裸の栄寿さんを目撃することになった。
「えええ栄寿さまッ、ななななんてことを……!」
もなかさんが栄寿さんに跳びかかった。あずきさんが駆け寄ってきて、栄寿さんからわたしを守るように抱きかかえた。
「莉子ちゃん! ああ、こんなことになるなんて。あたしたちが栄寿さんとふたりきりにしたばっかりに」
もなかさんが栄寿さんに馬乗りになって、ポカポカと責めたてた。わたしはあずきさんの腕の中で泣き笑いしながら、その様子をながめた。栄寿さんも笑っていた。そのうちにメイドさんたちは、わたしたちの様子を訝しがりはじめた。どうやら力づくでわたしが犯されたわけではないらしいと悟ったようだ。
夢のような、すてきな初体験だった。
そのあと、お茶を飲みながらふたりに事情を話した。わたしと栄寿さんが親子かもしれない、ってことは内緒にしておいたけどね。
つづく
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