ふたりだけの残業時間 (08)

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激しく熱いキスです。

「んん……、む……、んんっ……」

舌を入れられ、吸い出され、甘咬みされて、舐められて。

これがあたしのファーストキスです。

だから知らなかったんです。

キスって、こんなに激しい愛撫だったんですね。

頭の中がしびれて、何も考えられなくなってしまいます。

とろけちゃいます。

ようやく本郷さんがあたしを離してくれたとき、もう足に力が入らなくて、壁にもたれて立っているのがやっとでした。

「奥さん……いるのに……。ダメじゃないですか……」

息も絶え絶えに訴えるのですが、本郷さんはなおもあたしにキスしようとします。

「ダメ……。ダメだったら。こんなことしちゃいけません」

肩を押さえつけられ、壁に押し付けられて。

ふたたび唇を奪われます。

「好きだ。雪村さんも俺に好意を持ってくれていると思っていたがな。俺がキライならそう言ってくれ。どうなんだ?」

「そんな……。あたしも好きです。でも、これ以上はダメ。あたしたちの恋愛は許されないことです。奥さんがいるんだから。ね? もうやめてください」

「実は妻とはうまくいっていないんだ。だが、子供がいるから離婚はできない。俺は雪村さんと一緒にいると、妻といるときには決して感じたことのない安らぎを覚えるんだよ。きみもそうじゃないのかい? 俺たちはお互いに惹かれ合っている。俺たちが出会ったのは運命だよ」

「で、でも……」

うれしくてたまらないです。あたしだって運命を感じてます。

けれど、不倫する勇気はありません。

「がまんできない。きみのすべてがほしい。イヤだというなら、力ずくで奪うまでだ」

そう言うと、本郷さんがあたしのブラウスを思いっきり引き裂きました。

「きゃあッ!」

あたしは思わず両手で胸をかばいながら本郷さんに背を向けます。

いつの間にか本郷さんは全裸になっていて、仁王立ちしています。

レイプです。あたし、これからレイプされちゃうんです。

本郷さんがあたしの背中に抱きついて首筋にキスしてきました。

壁際に追い詰められているので、逃げることができません。

「雪村さんがいけないんだよ。こんなに可愛くて美人なんだから。それにこの抜群のスタイル。まさに犯罪的なボディだ。これが俺を悩殺しつづけてきたんだ」

「いやぁぁぁっっ! やめて! こんなのイヤです」

混乱してどうしていいかわかりません。

恋した人に奥さんがいることがわかって、失恋したと思ったら好きだと言われて。

でもあきらめなきゃいけないと思ったら、むりやり襲われて。

レイプなんてイヤに決まってるのに。それなのに……。

このままレイプされちゃえば本郷さんと結ばれる。

不倫はいけないことだけど、レイプされるのなら仕方ない。

そんなふうに考えてるあたしがいる。

本郷さんに背後から抱きすくめられ、うなじを舐められます。

「あうう…」

スカートをめくり上げられ、太ももをまさぐられちゃうんです。

お尻もなでられちゃうんです。

ストッキングの上から股間をいじられてしまいます。

「い、いやぁ……。イヤですぅ……」

ブラジャーのホックをはずされ、おっぱいを揉まれちゃうんです。

なんとか抵抗しようとするのですが……。

耳たぶを舐められると、全身の力が抜けてしまいます。

「雪村さんはいい匂いがする」

「ああっ……、ああん……、ダメ、ダメェ……」

胸がドキドキします。

体の奥から快感がわきだしてくるのを感じます。

「雪村さんのココ、湿ってきたね。処女なのにいやらしい体だな」

コップの中に徐々に水がたまっていくように、だんだん快感が高まっていきます。

もうすぐ溢れちゃうでしょう。

怖いんです。

レイプされることがじゃありません。

自分がおかしくなって、快感におぼれてしまうことが怖いんです。

あたしはどうなっちゃうんでしょうか……。

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