人妻セーラー服2 (05)

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「おい、貴様ッ」

 小声だけどよく響く低い声。

 それとともにミニスカートの中から男の手がつまみ出された。見ると、髪をマリーンカットにしたいかにも屈強そうな男子高校生が、スーツの中年男性の手首をガッチリとつかんでいた。殺気にあふれた目が中年男性をにらみつけている。

 くるみはその少年の顔を見て、あっ、と思った。さきほど喫茶店でパンツを見せつけた相手だったからだ。紺のブレザーにグレーのスラックス、ストライプ柄のエンジのネクタイ。龍星高校の生徒だと、くるみにも分かる。

 現行犯で捕まった中年男性は手を振り払おうとしたけど、びくともしない。少年が手首をギュッと握りしめ、中年男性がかすかにうめき声をあげた。痛みに泣き出しそうだ。人生おわった、という顔をしている。

 中年男性はこのまま警察に突き出されるのではないかと気が気でない。実はくるみもそうだ。警察なんか呼ばれたら、二十五歳の主婦がセーラー服を着て何をやっていたんだと問い詰められる。

 ちょうどそこで電車が駅に停車し、ドアが開いた。

「失せろ、変質者め」

 少年はそう言って、中年男性をホームに突き飛ばした。

 くるみはホッとした。そして、軽く会釈して謝意を示した。

 それ以上、少年と言葉をかわすことはできなかった。何人かが電車を降りた後、その何倍もの乗客が乗り込んできたせいだ。くるみはドア横の隅に追いやられた。男子高校生――政宗くんが、混雑からくるみをかばおうとして、ほかの乗客とのあいだに割って入った。おかげでくるみは政宗くんに隅に追い詰められた形だ。

 くるみは政宗くんに背を向けた。

 痴漢から助けてくれたことはうれしい。でも、ついさっきパンツを見せてからかった相手でもある。どんな顔をすればいいのか分からない。

 列車がふたたび走り出した。

 さて、どうすればいいのか分からないのは政宗くんも同じ。喫茶店を出てくるみを追いかけてきた彼は、列車に乗ろうとしていたくるみを見つけた。そして、ドアが閉まる寸前にあわててすべりこんだのだった。卑劣な痴漢に対しては勇敢な態度を見せた政宗くんだったけど、美少女(主婦だけど)を前にしてすっかりへたれてしまった。

 痴漢から助けたことは知り合うための絶好の口実になる。あとは声をかけるだけ。なのに、頭ではそれが分かっていても、話しかける勇気が出ない。

 くるみはくるみで、

(無口な子だな。何考えてるんだろ。ちょっと怖い感じの子だし、パンツを見せつけたことで怒られちゃうのかも)

 などと、黙りこくっている政宗くんに不安を感じていた。

 そうこうしているうちに、すっかり話しかけるタイミングを逸してしまった政宗くん。

(く、くるみさん……ッ、なんて可憐な人なんだ。ああ、このまま抱きしめてしまえたらどんなにかいいだろう)

 すぐ目の前にあるくるみの髪からいい匂いがする。

 長い髪から香るシャンプーの匂い。

 清潔感のあるやさしい匂いだ。

 不意にさっき見てしまったくるみの白いパンツが脳裏に蘇った。

 激しい動悸とともに股間のモノが硬くなった。

(くるみさん……ッ、じ、自分は、あなたのことが……ッ)

 昨晩も空想の中で抱いた美少女が、いま目の前にいる。

 胸が苦しい。

 そして、とうとう――。

(くるみさんッ!)

 政宗くんの大きなゴツゴツした両手が、ミニスカートごしにくるみの腰をつかんだ。

(ひぃぃぃっっ!)

 突然のことに声にならない声でうめくくるみ。

(うおッ、さ、触ってしまったッ! これではさっきのチカン野郎と同じではないか!)

 女子のスカートに手を触れること自体が初めての経験だ。思わず触ってしまった政宗くんも頭がパニック状態。

 そのままスカートをめくりあげて、お尻に触ってしまった。

(ちょ、ちょっとォ、何するの、この子!)

 こんなにめくりあげられたら、ほかの乗客にパンツを見られちゃう。

 あわててミニスカートの裾を下に降ろそうとするくるみだが、政宗くんの両手がそれを妨げる。

(うおおおぉぉぉっっッ!! 自分はいま女子のパンツに触っているぅぅぅッ!! なんと滑らかで扇情的な手触りなんだぁぁぁ!!)

 我を忘れてくるみのお尻を撫で回してしまう政宗くん。

(や、やめてーッ!!)

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