新婚不倫 (09)

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体についたクリームと精液をシャワーで洗い流しながら、薬指にはめた結婚指輪をながめた。指輪をくるくる回しながら汚れを落としていく。

「ご主人のことを考えているんですか?」

レオくんがうしろからあたしに腕をまわしながら訊いた。声がバスルームに反響する。

「人妻なのに……。それも結婚したばかりなのに。あたしは最低の女だよ……」

「悪いのはぼくです」

「レオくんは悪くないよ。誘ったのはあたしのほうだもの」

「後悔してるんですか?」

後悔……? よくわからない。でも、たぶん後悔してる。最愛のひとを裏切ってしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。

こんなことをしてはいけない。心ではわかってる。

だけど……。

あたしはレオくんの腕に手を添えた。勃起したアレが股間に当たってる。ソレが与えてくれた快楽を思った。

だけど、体が言うことを聞かないんだ。

夫に抱かれるセックスとは違う悦び。新しく開けたこの世界をもっともっと探求したい。きっといままで経験したことのない世界が広がっているはずだもん。

あたしは振り向いて、レオくんの胸に抱きついた。

「やっぱり悪いのはレオくんだ。こんなにあたしを夢中にさせるんだから」

「ぼくも奥さんに夢中です。ふたりでもっともっといけないことをしましょう」

レオくんが唇を重ねてきた。シャワーから降り注ぐお湯が口のなかに入ってくるのもかまわず、あたしは熱い舌をむさぼった。

もう、止まらないんだ。

あたしたちは石鹸を泡立てて、たがいに愛撫しながら洗いっこした。アパートに備え付けのお風呂だから、狭くて動きにくい。立ったまま、レオくんのアレを手で洗う。きっとラブホテルのお風呂だったら洗い場に寝そべって、ソープランドのようなご奉仕プレイができるんだろうな。ラブホテルに行ったことはないし、ソープランドのこともよくは知らないんだけど。

それから湯船に浸かった。ひとり用のお風呂にふたりで入るのだから、自然と体を密着させることになる。あたしはレオくんの肩に頭をあずけ、ゆったりした気持ちで目を閉じた。

「もしも、ぼくたちのことがご主人に知れたら、ご主人はどうすると思いますか?」

レオくんが尋ねた。

「わからない。でも、ただじゃすまないよ。すごくやきもち焼きのひとなの」

「ご主人のことを教えてください。名前はなんていうんですか?」

あたしはどうしてそんなことを訊くのかと訝しんだけど、

「則夫さん」

「きょうはお仕事から何時ごろ帰ってくるかな?」

「日によってまちまちだけど、いつも帰る前に電話してくれるから、大丈夫よ」

「じゃあ、則夫さんが帰ってくるぎりぎり直前まで、めいっぱい楽しみましょう」

あたしは笑った。それまで何回くらい天国に行かせてもらえるかしら。

レオくんがあたしにキスしながら、乳房を持ち上げるようにして揉み回した。あたしの気持ちがふたたび高まってくる。

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