あたしが体を起こすと、村岡さんは呆然とした様子であたしを見つめた。ようやく我に返ったらしい。
「沙希ちゃん……、ぼくはなんてことを……」
そうつぶやきながら、あたしの手を縛っていたネクタイをほどいた。
両手が自由になったあたしは、対面座位の姿勢で村岡さんに抱きついた。股間にアレがあたった。二回も射精したのに村岡さんのアレはまだ硬さを失っていない。
村岡さんをぎゅっと抱きしめて、キスをした。舌を入れて絡ませる。大丈夫、拒絶されてない。村岡さんのことが愛おしくて、胸がせつなくなった。
唇を離すと、深く息を吐き出した。笑顔を浮かべて、村岡さんを熱っぽく見つめた。
「女の子にはもっと優しくしてくれなくちゃ、ですよ。大丈夫。怒ってません。ちょっとびっくりしただけです」
あたしは膝立ちになって、村岡さんの頭を抱えるようにして抱きしめた。
どうしたらいいんだろう?
どうしたらこの人を元気づけてあげられる?
村岡さん、あなたのことが好きです。好きになっちゃいました。
伝えたい。受け止めてほしい。
そのとき、ぎゅっと抱きしめられた。
「沙希、お父さんを許してくれ」
あ……。
そうか……。
ふうっ、と息を吐き出した。
大切なのはあたしの気持ちをわかってもらうことじゃない。
村岡さんが自分のことを許してあげられるようにすることだ。
娘さんのことを許してあげられるようにすることだ。
亡くなった娘さんの代わりになってあげようと思った。
村岡さんの行き場をなくした欲望を受け止めてあげようと思った。
あたしなら、この人の力になってあげられるんだ。
あたしはこの人に必要とされていて、その気持ちに応えてあげられるんだ。
「大好きよ」
もう一度キスをした。
硬く勃起したアレを股間にあてがうと、すこし腰を落として、ずれないように支えた。
「いけないよ、沙希」
あたしはにっこり笑って首を振った。
「女だって生で中出しされたほうが気持ちいいんだよ。あたしを守ってくれる薄い膜が、あたしとお父さんを隔ててしまう。でも、本当に好きな人とはゴムなしで繋がりたい。ぴったりくっつきたい。だから、お父さん。あたしのことを愛して。お父さんとひとつになりたいんだよ」
そう言いながら、ゆっくりと腰を沈めた。
村岡さんのアレがあたしの中に入ってくる。
ナマでする方が気持ちいいというのは本当だ。精神的な満足感がぜんぜん違う。愛している人と一体になれる喜びは何物にもかえられない。
あたしは妊娠と性病には気をつけてる。ナマでするのは、本当に好きになれて信頼できる人とだけだ。
村岡さんのことが好きだ。
わかってる。村岡さんがあたしを娘さんに重ねているように、あたしも村岡さんをお父さんに重ねているんだ。だから、これは恋とは違うのかもしれない。
でも、ただの恋愛感情をこえた気持ちなんじゃないかと思う。
愛なんだと思う。
あたしが伝えたいのはそのことだ。
アレがあたしのいちばん奥に届いた。
村岡さんは必死に欲望を抑えようとしているのか、じっとしていた。おかげですんなり挿入できた。抱きついて体を密着させた。あったかい体温をおなかで感じた。
すごく気持ちいい。
快感が泉のようにあふれてくる。
お金で買ったり買われたりってだけの関係なら、こんなに気持ちよくはなれない。
「ごめんね、お父さん。あたしのこと、許して」
「沙希……。お父さんの方こそ、お前に謝らなきゃ」
「あたしとだったら、いいんだよ。欲望をぜんぶ出していいんだよ。あたしに受け止めさせて……」
自分から腰を揺らせて、感じる場所にアレを当てた。あたしの中でアレがますます硬く大きくなってくる。
[援交ダイアリー]
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