ほんとはちょっぴり怖かったのだけれど、今回は先生もちゃんとしてくれるつもりみたい。恐る恐る先生の顔を見た。やさしい眼差しで見つめられていた。そんなに見つめられたら照れるよ。
唇にキスされた。
先生は片手であたしの肩を抱いて支えながら、もう片方の手であたしの体をなでた。キスが深まっていくと、その手があたしの乳房をそっと揉み始める。乳首には触れずにあたしを焦らす。だんだんあたしも気持ちが高まってきて、先生の首に両腕をまわして引き寄せた。互いの舌を絡ませ合い、脚を絡ませあった。
「ん……、んふ……、んん……」
キスで軽くイカされた。あたしと先生はキスの相性がいいみたい。
先生はあたしの上に体を重ねて、首筋に舌を這わせてきた。そのまま下の方へと愛撫され、乳首を舐められた。指先と舌先で両方の乳首を転がされ、どんどん高まっていくあたしの股間から愛液が溢れだした。先生はぬるぬるしたアソコに指を挿れて、いやらしい動きで刺激した。
「あ……、あん……、ん……、あッ、あッ……」
背中を快感が駆け抜けて、体を反らせてピクピクと震えた。
そんな愛撫が二十分ほども続いただろうか。あたしはもう我慢できなくて、両脚を開いて先生をいざなった。だけど、先生はあたしをもっと焦らしたいのか、布団を跳ね除けてアソコに顔をうずめると、さらに時間をかけてクンニで攻めた。
あたしは前戯が長いほうが好きだ。だけど、もう体に力が入らない。頭の中がとろけちゃってる。
「せんせ……、あたし……、もうダメ……」
懇願するあたしに、先生はようやく体を起こすと、コンドームを手に取った。
いよいよ藤堂先生とひとつになるんだ。その期待に体中が沸き立った。
パッケージを破ってコンドームを取り出す先生を、うっとりと見つめる。
そして――。
「うッ……」
「あ……」
精液があたしのおなかに飛び散った。あわてて押さえようとする先生の手の中で、アレがドピュドピュッと白濁液を噴出させ、指の間からあふれた。
先生はサヨナラヒットを打たれた甲子園マウンドのピッチャーみたいな顔で、手の中でしぼんでいくアレを見つめた。ゴムを着けようと亀頭に触れた瞬間、暴発したんだ。
ブレーカーが落ちたように高揚感が消えてしまった。童貞クンが暴発させたのとは意味が違う。それは先生の表情を見ればわかる。体を起こしてティッシュで精液を拭きながら、言うべき言葉を探した。けど、気の利いたセリフなんて浮かばない。
「大丈夫?」
両手で先生の肩を抱いて、精一杯の思いやりをこめて言った。
「すまない、美星……」
「いいんだよ。藤堂先生が真剣な気持ちだっていうのは伝わったから。先生はあたしをレイプしようなんてぜんぜん思ってなくて、あたしの担任になろうとしてるんだって、ちゃんとわかったから」
そのまま何も言わずに先生を抱きしめてあげた。
しばらくして、先生はショックから立ち直ってくれた。先生は洗面ボウルで手を洗い、あたしはもう一度シャワーを浴びて精液を洗い流した。
けっきょく、一度もつながることなくふたりとも服を着て、ベッドに並んで腰掛けた。
「以前はこうじゃなかったんだが」
「何かあったんですか? あの……、言いたくないことは言わなくていいんですけど、あたしでよければ話くらい……」
「大したことじゃないんだ。美星がさっき話してくれた辛い体験に比べたら、ぜんぜんどうということはない。聞いたら笑うよ」
「縛られた子が好き、とか?」
先生は自嘲気味に低い笑いを漏らした。
「俺は子供の頃からそういうフェチなんだよ。縛られて猿轡をされてもがいている女に興奮するんだ。一応言っておくが、その手のジャンルがあってSMとはまたすこし違う。変態だというのは認めよう。三人目の子供が生まれたあと、妻にソフトな緊縛プレイを持ちかけてみたんだが、猛烈に嫌がられた。それ以来、だんだんとセックスがうまくいかなくなって、もう二年以上もセックスレスだ。いや、妻との仲は悪くない。彼女のことは愛している。恋愛感情ではなく家族として。向こうもそれで満足しているようだしな」
「でも先生はがまんできなくなって、半年前にとうとうあたしを買ったってわけ?」
「半年前、前の学校を解雇された。事務長が学校のカネを不正に流用しているのに気づいたんだが、その証拠を集めるために俺も不正な手段を使った。事務長のパソコンにウイルスを仕掛けたり、隠しカメラを使ったりとね。目的が手段を正当化するなんて左翼じみたことをいうつもりはない。ただ、俺はそれをやる能力があり、あの事務長とは互いに忌み嫌っていたというだけさ。そしてバレた。奴も無事じゃなかったが、俺はクビになった」
[援交ダイアリー]
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