ぴゅあぴゅあせっくす (06)
詩織はいよいよセックスするのだという恥ずかしさに目を伏せた。
「うん、恭ちゃんを信じる。やさしくしてね」
無理するのはやめようと思った。強がる必要はない。恭介は経験者だ。信じてまかせればいい。きっとやさしく教えてくれる。
そう思うと気持ちが楽になった。
緊張しているのは変わらないけれど。
ドキドキするのに、心は安らいでいる。
ふしぎな感じ。
包み込まれるようなやさしさを感じる。
愛されているのだと感じる。
あたしのすべてで応えたい。
恭ちゃんのものになるんだ。
詩織は目を閉じた。
何度目かのキス。
裸で抱き合いながら。
素肌の感触を全身で感じながら。
舌を絡ませ、舐め合う。
アソコが熱い。
ウズウズする。
キュンキュンする。
ジュンッ、と濡れてくるのがわかった。
詩織はたまにオナニーをすることがある。初めてしたのは中学のときで、友達からオナニーのやり方を聞かされたのがきっかけだった。恭介がほかの女子とセックスするところを思い浮かべながら、文字通り自分を慰めた。
だから、性の快感は知っているつもりだ。
でも――。
自分でするのとはぜんぜん違う。
大好きな恭介に愛撫されている。夢に見たことさえないしあわせ。ずっとほかの女子がいた場所に、いま自分はいるのだ。
恭介の手が詩織の乳房をなでた。
てのひらで包み込むように、やさしく、大きく、円を描くように。
ゆっくりと揉みまわす。
それで快感を感じるわけではないけれど、男の子に胸を揉まれているという事実が、詩織を興奮させた。
キスが唇を離れ、首筋から肩へと移っていく。
「あ……」
鎖骨のあたりにキスされたとき、ゾクゾクするような気持ちよさが走った。
知らない感覚。
オナニーとは違う気持ちよさが、どんどん高まっていく。
「きれいだ」
恭介が耳元でささやいた。
「……ん?」
「しーちゃんの体。すごくきれいだよ。肌もすべすべしてやわらかい」
「はうぅ……、恥ずかしいよ」
詩織は真っ赤になった。体を褒めてもらえたのはうれしかったけど。
その様子を見て恭介が笑った。詩織はすこしすねたような顔をした。
「幼なじみだから」
と、恭介は詩織の体に唇をはわせながら、
「気づかなかったんだ。しーちゃんがこんなに美人で、可愛くて、セクシーな女の子だってこと。バカだな、俺。はじめから俺のいちばん近くにいてくれたのに」
「あん……」
「彼女にしてほしいって言われたとき、すごくうれしかった。しーちゃんは俺の彼女だ。しーちゃんのことが好きだ。しーちゃんとセックスしたい」
太ももにアレがあたる感触がする。
なんだかくすぐったい。
男の子は別に好きじゃない女の子ともセックスできる。だけど、色気を感じない子とはセックスできないものだ。
(恭ちゃんがあたしに女を感じてる。興奮してる。うれしい)
しびれるような快感に何も考えられなくなっていく。恭介の甘い声に包まれるような感じ。なんだかもう言葉の意味がおぼろげにしか理解できなかった。うれしいという気持ちだけがどんどん大きくなっていく。
「パンツ、脱がすよ?」
詩織は黙ってうなづいた。
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