第13話 目覚めた少女たち (12)

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 それからしばらくして、藤堂先生は約束の時間ピッタリに来た。

 駅前ロータリーに国産のコンパクトファミリーカーが停車。このあいだエッチしたときに乗せてもらった車だ。あたしと梨沙は駆け寄って、スライドドアから後部座席に乗り込んだ。

「おはようございます、先生」

「おはよう、美星。それと……?」

 藤堂先生は首を回して梨沙に見入った。想像していたよりずっと美少女だったからだろうな。援助交際している子はみんな美人なのか、とかあとで言われそう。

「はじめまして、穂波梨沙と申します。沙希と同じ学年で十六歳です。お会いできるのを楽しみにしていました。きょうはよろしくお願いします」

「よろしく、穂波さん。料金を聞いていなかったが、これで足りるかな?」

 先生が封筒を差し出した。

 梨沙が手に取って中を見ると、三十万ほど入っていた。前にあたしを買ったときと同じ金額だ。梨沙はお金はいらないと言っていたのだけど、先生としてはタダでヤラせてもらうのもはばかられるということかな。

 梨沙は一万円札を一枚取り出して、封筒を先生に返した。

「わたしの方からお願いして来ていただいたのですから、これはレッスン代と思って受け取ってください。諭吉一枚は仲介料として沙希にあげる」

 受け取る受け取らないで遠慮し合うなんてくだらないことだ。あたしも先生も素直に受け取った。

 そのあと、先生は梨沙が指定した住所をカーナビにセットした。

 これから赴くのは、梨沙の家が持っている別荘。さすがお金持ちのお嬢様だ。今回初めて知ったのだけど、穂波家はあちこちに別荘を持っているらしい。たぶん一条さんなんかよりもずっと裕福な家なんだろう。

 先生が車を発進させた。到着まで四十分ほどだとカーナビが告げた。

 既婚の男性教師と女子高生ふたり。誰にも邪魔されずに変態プレイを満喫できる場所に向かっているのだと思うと、何を話していいか分からない。先生と梨沙は初対面だし、どちらも緊張してるみたい。

 交差点を曲がった拍子に梨沙の手があたしの膝にあたった。梨沙が申し訳なさそうに手を引っ込めた。手が当たったくらいでオーバーだなと思ったけど、どうやら梨沙はあたしのことも意識している様子。

(レズビアンセックスしようって言ったからかな)

 そんなふうに意識されると、急に梨沙のことが愛おしくなってきた。

 そっと梨沙の手を握る。繊細で、やわらかくて、あったかい。

「梨沙……、あたしたち、どうなっちゃうのかな……」

 声を震わせながら、小声でささやいた。

「沙希……?」

「あたしたちは同じクラスの親友同士。実は互いに友情以上の感情を抱いていたことを知ってしまったばかり。でも、そんなあたしたちの幼い体を狙っていた変態教師に誘拐されて、どこかに連れ去られる途中なの。ふたりとも脅迫されていて、言いなりになるしかなくて。せっかく恋人同士になれると思っていたのに、このまま監禁レイプされるの」

 という設定だ。

「沙希、わたし、怖い。まだキスもしたことないのに……」

 梨沙も乗ってきた。

「あたしもよ。せめてファーストキスは大好きな人としたいわ。梨沙……、男に犯されて穢される前にキスして。あなたとのキスの思い出があれば、終わらないレイプがつづく残酷な世界でも、耐えていけるわ」

「沙希……、大好き。どれほど男たちに犯されようと、わたしの心はあなたのものよ」

 梨沙の手を引いて顔を近づけると、梨沙はちょっと戸惑った様子。けど、その気になったのか、梨沙も顔を近づけてきた。ふたりともゆっくり目を閉じ――。

 そのときあたしたちのお芝居に聞き耳を立てていた先生が、

「お前達ふたりともたっぷりとかわいがってやるからな。クックックッ、腰が抜けるほど犯してやるぜ。もう家には帰れないからあきらめな」

 と悪漢口調で言った。

 あたしは目を開けてルームミラーごしに先生にジト目を向けた。

「先生、サイテー」

 もう、梨沙といいムードになれてたのに台無しだよ。

 藤堂先生は恥ずかしそうに苦笑いして、口を閉じた。

 梨沙の方に視線を戻すと、梨沙は顔を赤らめてあたしを見つめていた。あたしは微笑んで、軽くキスをした。

 梨沙の唇はマシュマロのように柔らかかった。

 舌を挿れると大好きがあふれてくる。

 梨沙も応えて舌を絡めてきた。

 あたしと梨沙は、そのあとずっと抱き合ってディープキスを楽しんだ。

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