「終わりにしたいなら、『もっと気持ちいいこと教えてください』って言うんだ。明日からも続けてほしければ、『これからもよろしくお願いします』だ。どちらも言わないなら……」
春菜の胸にハサミの切っ先が突きつけられた。ブラウスごしだったが、先端が春菜の乳房に食い込んだ。
「ひいぃ、そんな……」
列車はほとんど停止しかけていた。答えを急かすように、男が春菜の身体を揺すった。
「これから毎朝、気持ちいいことするか?」
春菜は無言のまま、頭をぶんぶんと横に振った。
(どうして、こんな目に……)
もうしばらく楽しませてくれたら……。男はそう言った。あと何区間が走ればラッシュアワーも終わって、車内の乗客も少なくなるはずだ。そうしたら、いくらなんでも破廉恥な行為から解放されるだろう。そう思った。男の言葉を信じたわけではない。でも、ほかにどうしようがあるというのだ。
春菜はもう選んでいたが、それを口に出すのは耐えがたかった。くやしい。でも、毎日こんな男たちのおもちゃにされるなんて、それこそ耐えられなかった。
「もっ……、……こと、……くだ、さい……」
「聞こえないなぁ。じゃあ、毎日かわいがってやるからな」
「もっ、……と、き、気持ち……、いいこと、う、うぐ、おし、え、えて、……く、ください……」
屈辱。
むりやり言わされたとはいえ、二つの選択肢から自分の意思で一つを選んだのだ。それが許せなかった。心までは自由にさせないと思っていながら、結局は屈服することしかできないのだ。
ちょうど列車が停止し、春菜の前でドアが左右に開いた。そのとたん、後ろから伸びた何本もの手が春菜の手足を掴んだ。春菜は悲鳴をあげかけたが、口を手で覆われ、声を封じられた。そのまま後ろに勢いよく引っ張られた。ほかの乗客がホームに降りていくなか、春菜は押さえ込まれたまま、車両の奥へと引きずり込まれた。二人の痴漢が春菜の正面にまわり、春菜を取り囲んだ。
恐怖のあまり、ガタガタ震えながら、春菜は襲いくる運命を待った。
ドアが閉まり、列車が動き始めると、男たちは行為を再開した。
いくつもの手がパンツの中に入れられた。まだ敏感になっている春菜のアソコを弄繰りまわす。
別の手がリボンタイをわしづかみにすると、無造作に引っ張った。紐と留め具の縫い合わせがちぎれ、リボンタイがはずされた。すぐさま別の手がブラウスの裾をスカートから引きずり出すと、前立てを掴んで、勢いよく左右に引っ張った。ぶちぶちと音を立てて、ブラウスのボタンが弾けとんだ。一度では全部のボタンははずれず、一番上のボタンが残った。男がもう一度力まかせに引っ張ると、最後のボタンも吹き飛んだ。
露わになった胸を激しく揉まれた。
同時に両足首を掴まれた。身動きすらままならない満員電車の中で、いったいどうして春菜の足首を掴んだりできるのか、春菜には疑問に思う余裕すらなかった。ふくらはぎや太ももが別の手で押さえつけられた。そして、パンツが、すーっと足元まで下げられた。
その間も両の乳房と乳首、股間の秘所への陵辱は止むことはなかった。頭が麻痺していたが、それでも春菜は抵抗しようともがいた。でも、春菜の抵抗は男たちの手で押さえ込まれてしまった。
足が片方ずつ持ち上げられ、パンツが抜き取られた。
別のいくつもの手がブレザーごとブラウスを後ろへと引いた。春菜の細い肩が露わになった。腕がゆっくりと袖から抜かれていく。
同時に、ミニスカートの横のファスナーが引き下げられた。一瞬だけ、春菜の脚を掴まえていた痴漢たちの手が離れた。ミニスカートのホックがはずされた。スカートが、すとん、と足元に落下した。
そして、とうとうブラウスとブレザーが脱がされた。
満員電車の中で、春菜のすべすべした白い柔肌がさらされた。春菜は全裸にされたのだ。いま身に着けているものといえば、白の三つ折ソックスと黒のローファーだけだ。
列車が動き出してから、一分と経っていなかった。
春菜の全身を痴漢たちの手がまさぐる。手を伸ばしてきている痴漢は十人以上いるだろうか。手も、腕も、胸も、お腹も、お尻も、アソコも、太ももも、膝も、ふくらはぎも、足首も、痴漢の手で掴まれ、押さえ込まれ、揉みしだかれた。
「やめ、やめてください……」
「勘違いするなよ。もっと気持ちいいこと教えてほしいって、春菜が自分から言い出したことなんだからな」
痴漢たちの背後には、男性の乗客が何人も、春菜の方をちらちらと見ていた。気づかないフリをしながら、少女が襲われている光景をながめて興奮しているのだ。
背後の痴漢が、春菜の首筋を舐めた。
「あうう」
春菜はうめいた。
火がついたような熱い快感が、春菜の全身を満たしていた。そのことがまた、春菜を苦しめた。感じてしまう自分を責めた。
男が春菜の股間に埋めていた手を、春菜の前にかざした。ねっとりとした液で濡れている。春菜は顔を背けた。いやでたまらないのに、どうしてそんなに濡れてしまうのか。
「これはな、お前の身体が男を求めているって証拠なんだよ」
(うそだ!)
前にいた男がズボンのファスナーを下ろした。中から、極太の怒張を取り出した。すると、ほかの男たちもそれにならった。
(まさか、そんな……。満員電車の中なのに……)
何本もの肉棒を見せつけられ、春菜は自分を待ち受ける運命を悟った。
身動きできないように押さえ込まれていても、なおも逃れようと身体をひねった。抗おうとした。
だが、力が入らないのだ。
正面に立った痴漢が、春菜の股間を先端で小突いた。背後の痴漢が割れ目に肉棒をこすりつけた。痴漢たちは、どちらが春菜のバージンを奪うか決めかねているふうだったが、やがて背後の痴漢が先端を春菜の膣口にあてがった。
[淫獄列車]
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