じっとしていると、すこしずつ痛みが引いていく。
「すごく可愛いよ、しーちゃん。大好きだ。愛してる」
「あたしも愛してる。大好き、恭ちゃん」
繋がったままディープキス。
詩織は恭介の体に両腕をまわすと、しがみつくように抱きしめた。
ふたりのあいだの隙間をなくしてしまいたい。
体ぜんぶで密着して、ひとつに重なりたい。
キスをしたまま、恭介が腰を動かし始めた。
ゆっくりと、リズミカルに。
痛みは覚悟していた。
恭介を心配させたくないから、声を出さずに耐えた。
それに……。
――痛いけど、気持ちいい。
もしかしたらそれは、恭介と結ばれたうれしさを、肉体的な快感と誤解しているだけなのかもしれない。
だけど、いままで感じたことのない気持ちよさ。
ひょっとしたら、痛いことが気持ちいいのかもしれない。
だったら、痛みさえ愛おしい。
恭介が動くたびに、アソコがじんじんする。
詩織の乳房が上下に揺れ、その揺れが恭介の胸をこする。
キスされて舌を絡ませる。
恭介の息が荒くなってきた。
詩織も喘ぎ声をもらす。
汗の匂いに包まれた。
すごく痛いけど。
すごく気持ちいい。
ひとつになっているんだ。
セックスしてるんだ。
心が満たされていく。
イクってどんな感じだろう。
初めてだからイクことはできないのはわかってる。
いっぱいセックスして。
いっぱい愛してもらって。
時間をかけて恭介に体を育ててもらわなくてはいけないのだ。
いまでも十分気持ちいいけど。
もっともっと気持ちよくなれるはず。
ふたりで行きたい。
時間ならいっぱいある。
恭介がおおきく息を吐き出した。小刻みに体を震わせている。
その瞬間、体の奥に熱いものが広がっていくのを感じた。
アレがアソコの中で脈動してる。
何が起きたのかはすぐにわかった。
詩織は恭介を熱っぽく見つめて微笑んだ。恭介も微笑みかえした。
射精がつづく間、ふたりは見つめ合って、しあわせにひたった。
恭介が詩織の中から出ていくと、アソコから精液が垂れてシーツを汚した。
そして、キス。
「しーちゃん。愛してる。すごく気持ちよかったよ」
詩織は照れ笑いしながら、
「恭ちゃんのものになれた。すっごくうれしい。大好き」
と言って、恭介に抱きついた。
胸の奥が、きゅうーん、と切なくなった。
感動して涙がこぼれた。
鼻をすすって、恭介の胸に顔をうずめた。
抱きしめられると、愛しい気持ちで胸がいっぱいになった。恭介の愛を感じた。さっきまでのふたりとは違う感じがした。世界が変わった。ステップを上がったのだ。
たぶん、すこし眠ったのだろう。気がつくと、部屋の中は薄暗くなりかけていて、掛け布団がかけられていた。恭介もいま目を覚ましたばかりらしく、眠そうな目で詩織を見ていた。
ふたりが同時に目を覚ましたのは、廊下から聞こえてくるどたどたという足音のせいだった。
「おーい、恭介。お客さんか? お茶いれてやったぞ」
という声がしたかと思うと、部屋のドアが勢いよく開けられた。
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