おしっこガールズ (04)

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「ちょっと、こんなところで広げないでよ。あ、でもこれカワイイ。わたしもこういうのにしようかな。おむつはやっぱり恥ずかしいし」

「待て待て、エリちゃん。パッドは軽い尿漏れ用だ。三〇ccがせいぜいだぞ。だいたいヤクルト一本の半分以下だ。彼氏に見せるのが目的の見せパッドなんてすぐに溢れてしまうぞ。安心なのはやはりおむつだ。アヤもいいかげんおむつを体験してみたまえ」

「パッドの方がぜったいカワイイですって。デートのとき彼にパンツを脱がされると、そこにはさらに一枚の布が大切なところを覆っていて、それが彼の手でゆっくりと剥がされていく……。ロマンチックじゃないですか」

「やはりパッド派は男に媚びる道具として使っているのだな。その点、おむつは女子の自立のためのツールであって、精神的な成熟をうながすものとしてこれ以上のものはない。漏らしてしまうかもしれないという常につきまとう不安から解放されることで、自分に自信が持てるようにもなるのだ。一方でおむつをしているという自覚は自分の弱さを受け入れるということでもある。そうした女子は殿方にも愛され、良縁にも恵まれるぞ。エリちゃん、パッド派はしょせん色仕掛け、内面で勝負するのがおむつ派なのだよ」

 などと言われても返答に困ってしまう。

「女子に生まれたなら、何でもチャレンジしてみるがいい。物は試しだ。さっき購入したおむつをここで身につけてみたまえ。さすれば、精神の変化を実感できるであろう」

「ええ?」

「そうだぞ、エリ。実際に試して、おむつなんて恥ずかしい、やっぱりあたしはパッド派になるわ、と認めることも大事だぞ」

 アヤちゃんはすでに酔いが回っている様子だけど、それはエリも同じ。でなければ、わかりました着けてきます、なんて言わなかっただろう。

 トイレが塞がっていたので、エリは二階席へあがる階段の陰で、おむつに足を通した。

 お酒が入っているせいもあるのか、恍惚とした気分だ。おむつを着けているというある種の背徳感、そして包み込まれているような安心感。ドキドキがとまらない。

 席に戻ったエリは黙ったまま座り込むと、そのままジョッキに残っていたビールを一気飲みした。

「どうかね、エリちゃん」

「なんだか、とっても……、変な気分ですッ」

 体が熱い。

 たしかに自信が湧いてくるような感じ。

 エリは生中の追加といっしょに、これまで食べたことのない鯨の刺身とベーコンを注文した。いまなら仕事も恋愛も、もっといろいろなことにチャレンジできるような気がする。

 それから三十分ほどしたころ、エリはトイレに行きたくなってきた。ビールの中ジョッキを四杯も空ければ誰でもおしっこに行きたくなるというものだ。

 トイレに立とうとしたエリの両手を、アヤちゃんが掴んで引き止めた。

「エリぃ、おむつ派はここからが本番だよォ」

「もー、アヤちゃん、ずいぶん酔ってるよ。ちょっとお手洗いに行くだけだから」

「うむ、アヤの言うとおり、ここからが醍醐味なのだよ。さあ、もう一杯飲みたまえ」

「いや、あの、わたし、おトイレに……」

 ナコ先輩が横から抱きついてきて放してくれない。その意図を計りかねているうちに、どんどん膀胱がきつくなってくる。

「エリちゃん、おむつ派の女子はみんなしているのだぞ」

「しているって、何をですか……?」

 なんとなく答えを察して、エリはその場を逃げ出そうとした。けれど、ナコ先輩に押さえつけられて身動きがとれない。

 おしっこが漏れそうで、膝をパタパタさせる。その様子にナコ先輩がにんまりした。

「ええ!? いやですッ、放してくださいィィッ」

「大丈夫。きみはひとりじゃない。わたしも一緒にイクよ」

「行くなら一緒にトイレに行きましょうよォ」

「エリィ、パッドと違っておむつは漏らしても大丈夫なんだよぉ。それでもお前はおむつを選ぶんだなぁぁ」

「アヤちゃん、助けてってばぁ。ヒィィィー、もうダメェェ」

 まわりにはほかの客がおおぜいいる。横のテーブルにいたサラリーマンらしい男性客のグループが何事かとエリの方へ顔を向けていた。

(やだぁ、男の人に見られてるぅ……。気づかれちゃうぅ……)

 最初にチョロチョロと漏れ出してしまうと、もう気力だけでは耐えきれない。あきらめの気持ちとともに、またたく間に奔流となって溢れ出す。股間が温かくなっていく。恥ずかしさで消え入りたい。お腹が楽になっていくのと同時に、また激しい快感を感じてしまった。全身をぷるぷる震わせて、おしっこがぜんぶ出てしまうまで待つしかなかった。

(こっちを見ないで……。気づかないで……。もうやだぁ……)

 隣の男性客の視線にエリは気が気ではない。

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