淫獄列車 (4)

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腰のあたりがしびれるのを感じた。息が荒くなってきた。ときおり、電気が走ったように身体がビクンビクンと震えた。

快感を感じているのだとは認めたくない。

それなのに身体が勝手に反応してしまうのだ。

(いやだ。こんなのはいやだ!)

春菜は男の子と付き合ったことはなかった。モテるほうではなかった。誰かに恋をしたことがあるかどうかも怪しかった。男の子と親しく話したことすらなかった。ようするに奥手だったのだ。

それでも恋愛にはあこがれていたし、高校生になったら素敵な出会いがあるかもしれないと、ほのかに夢を見ていた。

それなのに、見知らぬ男たちに囲まれ、むりやりつぼみをこじ開けられ、幼いめしべを引きずり出されようとしているのだ。

愛液が股間を垂れるのを感じた。男の指が挿入され、中をかき混ぜるように動いた。指は前からも後ろからも入れられていて、春菜を未知の快感で苛んだ。

春菜は、快感を感じることが怖かった。自分が何か得体の知れない、まったく違うものになってしまうような気がした。それに感じることに罪悪感を覚えていた。男たちの理不尽な手で辱められているというのに、どうしようもなく気持ちよくなってしまう。そんな自分が許せなかった。

それなのに、身体の奥からとめどもなく湧き上がってくる、とろけるような甘い快感に、身をまかせてしまいたくなるのだ。

(いけない! 負けちゃだめだ)

春菜は、歯を食いしばった。手足を押さえつけられているので、唯一自由に動かせるのは腰だけだった。男たちの手をなんとか逃れようと、腰をよじるのだが、そうすると男たちの指がこすれて、さらに春菜を刺激してしまう。

それでも春菜は必死に耐えた。涙で視界が滲んでいたが、決して泣くまいと思っていた。泣いてしまうと、心が折れてしまいそうな気がしたのだ。

だが、男たちは容赦なかった。

割れ目の上端あたりに特に敏感な箇所があって、そこには三本の指が押し当てられた。二本の指が両側から押さえつけ、そのあいだの部分をもう一本の指がこすった。とたんに全身を強烈な電気が駆け抜けて、春菜は背中を弓なりにそらせた。

それまでとは比べものにならないほど強烈な快感だった。

「あううぅぅぅっっ!」

たまらず、うめき声をあげる。

それでも指の動きは続いていて、春菜は両脚を突っ張って、全身を硬直させ、頭を思い切り後ろにのけぞらせた。そのせいで、背後の痴漢に体重を預けるかたちになった。男は春菜を支えながら、胸を揉みしだく。硬くしこった乳房をぎゅうと握られると痛みを感じたが、それがまた気持ちいいのだ。

何度も全身をぴくぴくさせたあと、不意に硬直が解けた。痙攣が収まると、力の抜けた春菜を背後の男が抱えて立たせ、なおも敏感な突起を攻撃した。ふたたび身体が痙攣し、また力が抜け、それが繰り返された。

春菜はいままで一度も感じたことのない、激しい快感の奔流にさらされていた。下腹で生まれた巨大な快感が、濁流となって全身を駆け巡った。

気が遠くなる。地に足がつかない。頭の中が真っ白になって、何も考えることができなかった。

津波のような快感が春菜を翻弄し、ついにぐったりとなって、痴漢に身体を預けたまま動けなくなった。ぜいぜいと息を切らせ、ときおり唾を飲み込んでは、余韻に震えた。

男たちは手を止めていた。背後の痴漢が春菜を抱きすくめ、それまでとは違って、いたわるように頭を撫でた。

「気持ちよかっただろ?」

(認めるものか。力ずくで身体を弄ばれても、心まで自由にはさせない!)

そう思って、声のした方から顔を背けた。くやしさに歯ぎしりした。

車内アナウンスが、まもなく駅に着くことを知らせた。春菜の耳に、列車の音が戻ってきた。春菜の学校がある駅だ。一つ前の駅に停車したのには気がつかなかった。

痴漢たちは無言のまま、ブラウスのボタンをはめていく。別の手が引き下げられたパンツをゆっくりと引き上げ、もとどおりに穿かせてくれた。べっとりとした愛液がパンツを濡らした。ブラウスの裾もスカートの中に入れてくれた。その後でブレザーとスカートの皺を直すように撫でられた。ブラジャーを奪い去られているので、まだ敏感なままの乳首がブラウスにこすれると辛い。

(終わったの……? もう解放してもらえるの?)

安堵感に包まれながら、そんなふうにぼんやりと考えた。とにかくいまはここから逃げ出したい。この男たちから離れたかった。そして何もかも忘れたかった。

列車がホームへと滑り込んでいく。

「気持ちよかっただろ?」

ふたたび背後の男が耳元でささやいた。

「明日も来いよ、春菜。お前の学校も家もわかってるんだからな。明日、同じ列車の同じ場所に乗らなかったら……、家まで追いかけていって、ただじゃすまさないからな」

そう言われて、春菜は恐怖に目を見開くと、男から逃げようとあがいた。

「いやぁ、いやぁ、もう許して……」

春菜は混濁した意識のまま懇願した。

「そうだな。もし、もう少し楽しませてくれたら、今日で終わりにしてやろう」

春菜はもがくのをやめた。激しい葛藤が湧き起こる。

(どういう意味……?)

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