ピンクローターの思い出(05)

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「心配しなくてもいい。誰にも言わないよ。まどかちゃんとおじさんの二人だけの秘密だ。服を脱ぎなさい」

 まどかは唇を噛んでイヤイヤをした。

 男は穏やかな、しかし有無を言わせぬ口調でつづけた。

「ビデオを撮られているんだよ。言うことを聞かないなら、友だちみんなにまどかちゃんがセックスしているところを見せちゃおうかな」

 それがただのハッタリだという考えは浮かばなかった。まどかは観念した。涙を流しながら服を脱いだ。両手で膨らみかけの乳房を隠した。

「パンツも脱ぎなさい」

 従うしかなかった。全裸になったまどかはしゃくりあげ鼻をすすった。

「まどかちゃんはとても可愛いね。それにスタイルもいい。将来はきっと美人になる」

 男は自分も服を脱いで全裸になった。股間のモノは赤黒くそそり立っている。

「ほら、見てごらん。これはまどかちゃんがとても魅力的な女の子だっていう証拠だよ。おじさんのおちんちんがまどかちゃんと友だちになりたいと言っているんだ。ほら、触ってごらん」

 男がまどかの手を取ってむりやり熱いソレを握らせた。

 これから何をされるのか、まどかにははっきりわかっていた。もう経験済のことだからだ。そして逃げられないことも、誰も助けてくれないことも。

 意識が遠のきはじめるのを感じた。心が体から分離して、自分自身を背後から眺めているような感覚。

 そのとき男がまどかをぎゅっと抱きしめた。男の体温を全身に感じた。不思議なことに、まどかは精神が自分の体に引き戻されたと感じた。

「かわいそうに。よほどひどいことをされたんだね」

 男はいたわるように言うと、そのまままどかを抱きしめつづけた。男の優しい態度にまどかは混乱した。生まれてこの方、感じたことのない感覚を覚えた。これから強姦されるのにどうしてそんなふうに感じるのか。それは包み込まれるような安心感だった。

 父親というものをまどかは知らない。だが、もしも『お父さん』がいたとしたら、それはこんな感じではないか。そう思った。

 まどかが落ち着いてきたのを感じ取ったのか、男はまどかの目をじっと見つめて、

「大丈夫だよ」

 と、ささやいた。

 キスをされた。三人組にむさぼられたときとは違う、優しいキス。

 布団に押し倒された。舌を入れられ、最初は抵抗したまどかも無意識に舌を絡め合いはじめた。

 覆いかぶさってくる男の大きな体、太く力強い筋肉質の腕、大きな樹に抱かれているようなどこか甘さのある大人っぽいコロン、おなかに伝わってくる熱い体温。

 まどかが初めて知る『お父さん』の感触だった。

 じっくりと時間をかけて全身を愛撫され、火照ったまどかの幼い体の中に男が入ってくる。セックスするのはイヤだったし、怖かった。アレを押し込まれるのは痛かった。でも、逃げられないのだし、離れたくなかった。

 力ずくで犯されているのに、愛されているのを確かに感じる。

 男はまどかを抱きしめたままゆっくりと動いた。やがて、アレがビクンビクンと脈打ち、まどかは体の奥が熱くなるのを感じた。男は満足げに深い吐息を吐き出すと、まどかの中から出ていった。

「まどかちゃんのおまんこはとても気持ちいい」

 布団に寝そべって片手でまどかを抱き、天井を見上げながら男がつぶやいた。

 まどか自身はセックスが気持ちいいとは感じていなかったが、男の言葉はなんだかうれしかった。

 帰り際に男はお小遣いをくれた。二つ折りの財布から無造作に取り出された一万円札が三枚。小学生にとっては大金だった。意味がわからなかったが、どうしていいかもわからなかったので、黙って受け取った。

 ひとりになって、きょう体験したことの意味を考えていたとき、母親が戻ってきた。全裸で布団に横たわっている娘を見るや、何も言わずにまどかをひっぱたいた。母親は怒っているのか悲しんでいるのか、顔をゆがめて目に涙をためていた。母親の気持ちがわからなかったので、まどかも何も言わなかった。

 それからは週に一回か二回、男と関係を持つ日々がつづいた。下校時に待ち伏せされ、車でホテルに連れて行かれるのだ。いけないことをしているという自覚はあった。セックスしたくはなかったけれど、求められることには喜びを感じた。男はまどかを抱くたびにお小遣いをくれた。まどかはそのお金で新しいローターを買った。母親とはほとんど口を聞くこともなくなってしまった。

 六月になったある日、まどかは初めて客をとらされた。

 学校帰り、いつものようにホテルに行くのだと思っていたまどかは、別の男に引き合わされた。目つきのきついスキンヘッドの大男で、街を歩いていれば誰もが避けるようなタイプだ。男はまどかを見てギラつく視線でニヤリとした。

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