お兄ちゃんと不倫しました (05)

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 お兄ちゃんのマンションは都内にあって、電車で行けばそう時間はかかりません。パワーカップルらしくタワーマンションの3LDKです。おおかた恭子さんが虚栄心から、二人の収入を合わせればこれくらい十分買えるよとでも言ったんでしょう。

 お兄ちゃんはリビングのソファに座ってひとりで映画のビデオを観ていました。

「奈々が心配するようなことはないよ。お義母さんがケガで入院したとかで、実家に行っただけだ。ケガは大したことないしすぐ退院できる。お義父さんは自分じゃメシの支度ができないからな。それで年末の帰省の代わりに子供も連れて行った。昨夜は実家に泊まって、今日の夜には帰ってくる」

 まあ、そんなようなことはスマホでも知らされていたけど。

 それにしてもあのブス、わたしのお兄ちゃんをなんだと思ってるんだ。

 思い知らせてやるぞ。

 てことで、わたしは夫婦の寝室に入りました。上の子が小学校に入学したときに子供部屋を作ったそうで、子供たちが寝るのはそっちです。寝室には、いまはシングルベッドがふたつ、すこし間を開けて置かれていました。

 掛け布団が乱れている方がお兄ちゃんのベッド。

 ということは、こっちが恭子さんのベッドだ。

 わたしは上着を脱いで、恭子さんの使ってるベッドにもぐりこみました。

「お前、何やってんだ?」

「へへへ、マーキングだよ。縄張り宣言」

 あきれ顔のお兄ちゃんが見てる前で、というか布団の中だから見えないんだけど、スカートを脱いで、布団の外に投げました。

「奈々、お前――」

 ニットとブラウス、ストッキングも脱いで、布団の外に放り投げます。

 布団がひんやりしてたので、温めるために手足をシーツにこすりつけました。

 わたしの匂いをたっぷり付けてやるんだ。

「ねえ、お兄ちゃん。奈々ね、いま、ブラとパンツだけ。奈々のこと、脱がしてみる?」

 ちょっとからかってみただけ――、だったんですよ。

 だって、わたしは新婚だもの。

 だけど、お兄ちゃんはつかつかと歩み寄ってきて、そのままベッドに入ってきました。

「奈々……。キスだけなら、してもいいか?」

 そう囁くお兄ちゃんはマジ顔です。

「キ、キスだけなら……いいよ、お兄ちゃん」

 このあと何が起きたのか、いつも小説で書いてるみたいに詳しく描写するのはいくらなんでも恥ずかしいですね。

 最初にディープキスされて、舌を入れられました。

 キスだけなら不倫にはなりません。

 けれど、ずっとキスされていると、変な気持ちになってきました。なんか、愛しい気持ちが高まってきたんです。高校生のあの夏のキスでは感じたことのない感覚でした。それで無意識にお兄ちゃんの背中に両手をまわして、舌を絡め合いました。

 たぶん、お兄ちゃんもキス以上のことをしてもいいのか迷ってたんですね。

 ブラを外されて――、と思ったけど、お兄ちゃんは小説のキャラみたいにはうまく外せなくて、手間取ってたので、体を起こして自分で外しました。

 お兄ちゃんのスウェットを脱がしてあげようとすると、お兄ちゃんは意図を察して自分から裸になりました。

 わたしもパンツを脱ぎました。ふたりとも全裸でベッドの中で抱き合いました。

 肌と肌をくっつけると、不思議な感動を覚えました。

「大好き、お兄ちゃん。裸で抱き合うだけなら、不倫にはならないから……」

 また唇を重ねました。

 体じゅうを愛撫されて、幸せな気持ちでした。

 とうとうお兄ちゃんがわたしの両脚を開かせて、アレを押し付けてきました。

 わたしはお兄ちゃんをうっとり見つめて、

「うん……、挿れていいよ。中に出さなければ不倫にはならないから……」

「そんなわけないだろ、奈々」

 不倫してしまいました……。お兄ちゃんと。

 挿入されて、ピストンされて、ギュッとされて、キスされました。

 そのとき分かったんです。

 お兄ちゃんとするセックスは最高に気持ちいい、って。

 高校生のときに友達が言ってたこと。血の繋がったお兄ちゃんだから体の相性もいいんだろうなと思ってたけど、もっと大切なことがあったんです。

 兄と妹としてすごした時間の積み重ねです。

 血が繋がってるから恋愛対象にならないし、セックスだってしちゃいけない。それが分かっていながら、互いを大切に思う気持ちを重ねていった二人の時間。それがあるから、禁を破ってセックスで結ばれたとき、こんなにも心を揺さぶられるんだ。

 まして、ふたりとも家庭のある身なんだもん。

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