人妻セーラー服(12)

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 くるみはあかねくんに後ろを向かせた。自分がしてもらったように、あかねくんの背中にたっぷり泡を塗って伸ばす。

「おっきな背中だね」

 あかねくんの背後で膝立ちになって背中を洗う。さらにくるみの手は前にまわって固い胸板へ。筋肉質で引き締まった体だ。男らしくてカッコいい。なんて思っていると、くるみの豊満なおっぱいがあかねくんの背中をムニュッと押した。あかねくんの体に緊張が走るのがわかった。

「あかねくん、固くなってるよ」

「な、なに言ってやがるッ」

 くるみが言ったのは緊張で固くなってるよということであって、股間のモノのことではなかったんだけどね。で、くるみはあかねくんの気持ちを察すると、

「こっちも硬くなってるね」

 と、泡まみれのヌルヌルする両手で、アレをそっと包んだ。

 あかねくんの脳天に電撃が走った。

 おっぱい背中流し! されながらの、手コキ!

 十秒ともたなかった。

 激しく射精して、アレがしびれるのを感じながら、呆然とするあかねくん。

 これでは男のメンツが立たない。だが、アレはまだ勃っている。

「おい、くるみ。俺のモノはまだ元気だぜ。もっと気合入れて奉仕しろ」

 なんて子供っぽくて恥ずかしいセリフだ、と自分でも思った。

 ほんとはくるみを襲いたい。この女の中に深々とうずめたい。けれど、どうしてもそれはできなかった。

 くるみの手コキがつづく。

 至福のときだ。

 十五分ほどの時間をかけて、あかねくんは三回射精を繰り返した。かつて父親の愛人に射精管理された経験から、あかねくんは連続射精ができるのだった。そんなあかねくんにとっても、こんなに気持ちいい体験は初めてだった。

 そのあと、ふたりは肩を寄せ合ってお風呂に入った。ジャグジーの泡が全身を撫で、疲れを取ってくれる。

 あかねくんは何も考えることができず、ぼんやりとくるみの横顔をながめた。くるみは目を閉じてあかねくんに体重を預けている。すべてを委ねるように。

 あかねくんはくるみの肩に腕を回すと、そっと顔を近づけた。

 くるみが目を開けて、人差し指であかねくんの唇を制した。

「キスはダメ。何もしないっていう約束だよ」

 俺はくるみのことが好きだ――。その言葉が言えない。

「亮さん、ってヤツのこと?」

「え!? なんで亮さんのこと知ってるの?」

 くるみがびっくりしてお湯をはねた。その反応にあかねくんは落胆をおぼえた。

「さっき、寝言でそいつの名前を呼んでいた。好きなヤツなのか?」

「好きな人っていうか……」

 くるみはモジモジした。これ以上、あかねくんに隠しておくのは申し訳ないような気がした。こんなにがんばってくれたのだもの。

「亮さんは、その……、夫、なの」

「おっと……? え!? 夫!? いま、夫って言ったのか!?」

 状況が飲み込めずにあわてるあかねくんに、くるみは左手薬指の指輪を見せた。

「いや、くるみはその指輪、彼氏からもらったって……」

 ――『これは彼氏にもらったの。お揃いの指輪』

 ――『彼とはエッチしてるよ。愛し合ってるんだもん』

 男避けに指輪をはめているのではなかったのか。いや、というか、くるみは最初から本当のことしか言ってなかったことになるじゃねーか。だとすると――。

「くるみ、お前、いまいくつなの?」

「女性に年齢を聞くなんて失礼だよ、と言いたいところだけど……、うーん、まあ、あかねくんには本当のこと言わないといけないよね。というわけで、二十五歳くらい、だったりして」

 あかねくんは頭をかかえた。失恋のショックと自己嫌悪で、ノックアウト寸前のボクサーの気分だ。

「こんなことに巻き込んじゃってゴメンナサイ。あかねくんが優しいから、つい甘えちゃった。ありがとね。きみはホントにステキな男の子だよ」

 お風呂から上がって元通りに服を着て、くるみが女子高生に戻ってからも、あかねくんは自分が何に巻き込まれたのか分からずにいた。くるみはそこの事情は話さなかった。

 くるみにされたことは父親の愛人にされたことと同じだし、振られたわけだけど、あかねくんは恋をする気持ちを思い出せたことに感謝せずにはいられなかった。

 くるみがホテル代を精算して、部屋を出る間際、あかねくんを見つめて言った。

「あのさ……、キ、キスくらいだったらしてもいいよ」

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