新婚不倫 (21)

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背徳感と愛情がないまぜになってあたしの胸に去来した。

ベッド脇のクローゼットの中で息をひそめて隠れているレオくんのことを思った。この絶体絶命の状況は、則夫さんがあたしを喜ばせようとしたからなんだ。則夫さんを傷つけるようなことがあってはいけない。切り抜けなくちゃ。

「ねえ、則夫さん、お風呂……」

「いますぐしたい」

則夫さんはシュークリームの箱をテーブルに置くと、あたしに馬乗りになった。どうやらあたしのベビードール姿が、則夫さんを欲情させてしまったらしい。則夫さんはあたしを見つめたまま、ゆっくりとネクタイを緩めた。腕時計をはずして、上着とワイシャツを脱ぎ、ズボンも脱ぎ捨てると、トランクスと靴下も脱いで、全裸になった。

週に三回ジムに通って鍛えている則夫さんの体は、贅肉がなく締まっていた。顔をうずめたくなるようなたくましい胸板と、押さえつけられたら抵抗できなくなるような力強い腕。それでいて筋肉隆々というわけではなく、しなやかな鋼を思わせる体だ。

あたしは則夫さんをうっとりと見つめた。

女性的ですらあるレオくんの体とはまったく違う。股間の黒ぐろとした茂みからそそり立つモノは、レオくんのより大きい。黒光りする先端部から、透明な液が垂れていた。

あたしもしたい。

さんざんレオくんに抱かれた後だというのに、あたしの体は則夫さんを求めて疼いている。いや、もしかしたらレオくんに何度もイカされた後だからこそかもしれない。

きっとレオくんはクローゼットの隙間からこの様子を見ているんだろうな。あたしはレオくんに見せつけてやりたくなった。レオくんは前からあたしのことが好きだったと言った。夫とのセックスを間近に見たら、どれほどヤキモチを焼くだろう。そう思うと、興奮で息が苦しくなった。

「抱いて。思いっきり激しく。あたしの体を則夫さんだけの色に染めて」

普段ならこんなセリフは言わない。

「きょうの奈緒美はいつもと違うな」

「則夫さんだって」

則夫さんがこんなにあたしを求めてくるのは珍しいんだ。回数だって少ないし。いつもこんなふうなら、レオくんと浮気なんてしなかったかもしれない。わかってるよ、そんなのあたしのわがままだって。でも……。

則夫さんが体を重ねてきた。そしてキス。

いつものあたしはもっとおとなしい。本当はもっと激しいセックスをしてほしかった。だけど、貞淑な妻は自らセックスを求めたりしないものだと、則夫さんは考えているらしい。淫乱な女だと思われたら嫌われてしまうかもしれない。だからせいぜいメイド服を着てアピールするくらいのことしかできなかった。

でも、本当は則夫さんといろんなセックスをしてみたい。

ふたりでもっともっと気持ちよくなりたい。

だって、ぜったいもっとすごい世界があるはずだもん。

もっと愛し合えるはずだもん。

レオくんは教えてくれたよ。

「愛してる、則夫さん」

だから、あたしの心をレオくんから引き離すくらい強く抱いて。

あたしの心と体を則夫さんで溢れさせて。

あたしは則夫さんを抱きしめてキスをむさぼった。ちゅばちゅばと水音をたて、舌を絡ませて、息ができなくなるほど激しく吸った。則夫さんもそれに応えて、あたしの舌を吸い出しては甘噛みしてしゃぶる。

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