強姦されて感じるのはお前が淫乱な女だからだ、女性として恥ずかしくないのか、お前みたいなのがいるから性犯罪がなくならないんだ。中学のときに参加したグループセラピーでそんなふうに罵られたことがある。
強姦で感じるわけがないって信じたいのはわかる。でも実際に感じてしまうことはあるんだ。悲しくて耐えられないことだけど、気持ちよくなってしまうんだ。
つらくてたまらないのに、誰もわかってくれない。
「すっげー気持ちよかったぞ、沙希。お前も気持ちよかっただろ? ありがたく思えよ」
田辺さんはあたしから出ていくとコンドームをはずした。
必死に抵抗したせいで疲れた。体に力が入らない。
すすり泣くことしかできない。
永遠に癒えることのない傷を負わされた、というあの感じ。
生きていてもしょうがないという感覚。
だけど死ぬのは怖くて、どうしても自殺はできなかった。
擬似なのに、あの頃の苦痛を鮮明に再体験してしまった。
現実に戻ろうと自分に言い聞かせた。これはプレイだ。ごっこ遊びだ。田辺さんのセリフは成人向けのマンガに出てきそうなステレオタイプのものばかり。あれはぜんぶ演技なんだ。あたしは安全だし、怖いことなんて何もない。
「処女のくせに淫乱だな。次はバックから検査だ。四つん這いになってケツをあげろ」
動こうとせずに泣きながらぐずっていると、むりやり体をひっくり返された。手首を縛った三角タイがねじれて痛んだ。スカートをまくりあげられ、お尻をパシッと叩かれた。
「お願い……、もういじめないで……」
アソコの匂いをかがれた。ペロッとなめられ、悲鳴をあげた。
「ふーむ、処女は臭うものだが、お前のおまんこはいい匂いがするな。やはり、もっとよく調べなければならん。コンドームをつけていては微妙な感覚がわからんからな。こんどの検査はコンドームなしでするぞ」
全身から血の気が引いた。
「ちょ、ちょっとやめてよ。ゴムつけるって約束でしょ! あうっ!」
あっと思う間もなく、ずっぽりと奥まで入れられた。これはもうプレイじゃない。
「やめてってば! バナナ! バナナですぅ!」
田辺さんはあたしのお尻を両手でつかんで、腰をぐりぐりと押し付けながら下品な笑い声をもらした。
「バナナ? 何を言ってるんだ? そうか、俺様の特大バナナが欲しいんだな。いやらしい小娘だ。あわてなくても存分に食べさせてやるよ」
眼の前が真っ暗になった。
ストップワードを無視された。
けれど、縛られていて動けない。逃げられない。
プチサポの予定だったからあまり気にしてなかったけど、きょうは危ない日だ。
中に出されたら妊娠しちゃう!
それだけはゼッタイにいやだ!
もう動けないと思っていた体のどこに力が残っていたのか、あたしは逃げようと必死にもがいた。縛られた両手を思いっきり引っ張った。だけど、結び目はすこしも緩まない。
「きょうはダメだったら。危ない日なんだから、ナマはダメェ! 妊娠したくない。お願い、やめて! バナナ! バナナ!」
「心配するな。俺は膣外射精の名人だ」
本気で嫌がっているあたしの様子を田辺さんはおもしろがってる。笑い事じゃないのに。
「お願いだから抜いてください。ナマはやめてください。外に出せばいいってもんじゃないですよぉ。バナナです。お願い、バナナですってば」
「おい、暴れるな。お前が激しく動くと、中で出ちゃうかもしれんぜ」
ビクッとして固まった。すこしでも動いたら中出しされる。そんな恐怖で手足さえ動かなくなった。
「バ……、バナナ……。うう……、バナナ……。に、妊娠しちゃう……」
嗚咽まじりにかすれた声で懇願した。でも、田辺さんは取り合わない。
「もし妊娠しても堕ろせばいいだろ。手術代くらい出してやる」
絶望の底に落とされた。
手首を縛った三角タイはどうしてもほどけない。
逃げようとして体をよじったりしたら中出しされるかもしれない。
ただじっとして、犯されるしかない。
泣きながら終わるのを待つことしかできない。
せめて、うまく外に出してくれるのを祈りながら。
「くっくっくっ、二度目だっていうのに沙希のおまんこの気持ちよさに俺のチンポもビンビンだ。まったく女子生徒を犯すのはたまらんな」
そのとたん、心臓をぎゅうっとつかまれたように感じた。息ができないほど胸が痛んだ。
二回目――。一回目はちゃんとコンドームをつけてくれた。でも、コンドームの中で射精したんだから、田辺さんのアレは精液まみれになってる。ソレをそのまま挿入されてるんだ。もう手遅れかもしれない。
「いやだ。いやだ。いやだぁ! 抜いて! 抜いてよぉ!」
[援交ダイアリー]
Copyright © 2012 Nanamiyuu