人妻セーラー服2 (02)
店内にはほかに客はいない。
カウンターの角の席からは、テーブル席に座っているくるみの肢体を斜め前から眺めることができる。
その位置からだと、テーブルの下のくるみの下半身までがよく見えた。
白いニーソに包まれた細くて長い脚。
ミニスカートからわずかにのぞく素肌。
ニーソがすこしだけ太ももを圧迫してできる食い込み。
(クソッ、見てはいけないッ。くるみさんを劣情にまみれた目で見てはいけないッ)
と必死に自分に言い聞かせるのだけれど、見えてしまうのだから見てしまう。
この少年の名は南雲政宗。隣町にある龍星高校の二年生、十六歳だ。
子供の頃から剣道をしていて、いまは剣道三段。龍星高校剣道部の主将を務める。身長は178センチ、剣道で鍛えた細マッチョ。裏表のない清廉な性格で、校内での女子の人気は高い。
ただし、表立ってアピールしたり、告白したりする女子はいなかった。ハンサムなのだけど強面でもあって、女子がビビってしまうのだ。政宗くんは目に殺気がある、などと言われてしまう始末で、とても告白なんてできる雰囲気ではない。
当の政宗くん自身は、剣の道を究めるためには女子にうつつを抜かしているヒマはない、などと考えてしまう硬派である。年頃なのだから女の子に興味がないわけはないのだけれど、それは不純なものとして押し殺していた。
(実際、いまは女子のことを考えているときではない)
政宗くんは自分を叱咤した。
高校二年で剣道三段というのはかなり強い。ところが、先週末に行われたライバル校との練習試合で政宗くんはまさかの負けを喫してしまったのだ。
敗因は心の弱さだ――。
政宗くんはそう結論づけた。というのも、試合の前日、電車の中で偶然見かけた美少女に心を奪われてしまっていたからだ。
すなわちそれがセーラー服を着て女子高生に扮したくるみだったんだよ。このときくるみは母校の男子生徒である瀧本あかねくんとラブホテルに行った帰りで、亮さんのことを想って頭がポーっとなっていた。そんな二十五歳の主婦くるみの清純さと色っぽさの入り混じった魅力に当てられてしまったのだ。
彼女が母親らしい相手とスマホで話しているのに聞き耳を立てて、名前が『くるみ』というらしいことは分かった。しかしそれだけ。
他校の見知らぬ少女にどうすることもできない。
電車の中で政宗くんはくるみの姿をスマホで盗撮していた。変態行為だけれど、男子高校生はこのくらいフツーにやる。
制服から陽蘭高校の一年生だということは分かっていた。政宗くんはその日から毎日、陽蘭高校から最寄り駅への道を歩いて、またくるみに会えないものかとさまよった。まるっきりストーカーなんだけど、まあ、男子高校生なんていうのはちょっと頭がおかしい生き物だから、こんなこともありがちだ。
夜になれば自室でくるみの盗撮写真をオカズにしてオナニーをした。自分の腕の中でくるみが快感にむせび泣き、なまめかしくあえぐのを空想しながら、何度もティッシュの中に大量の白濁液を放った。うーむ。これはかなりキモチワルイけど、童貞の男子高校生ってこんなもんだよね。
これは余談になるけど、男性の皆さんはオナニーするときアダルトビデオに頼りすぎない方がいいです。早送りしながら抜きどころを探してシコる人が多いでしょう。自分が出ていたのにこんなこと言うのもアレですが、そういうやり方はEDになるかもしれないよ。見終わったあとで、思い出しながら想像力を使ってする方が脳と心が鍛えられて、より満足してもらえると思います。
政宗くんのオナニーは、だからなかなか健康的だとも言えるのだ。
で、政宗くんは次にまたくるみに出会えたときのために、手紙を書いて持ち歩いていた。うん、これはやべーわ。可愛い子なら見ず知らずの人に手紙や連絡先を渡された経験もあるだろうけど、電車の中で一回見かけただけでそこまで思い詰めるか?
そしていま、ついに彼の努力が実るかもしれないチャンスがやってきたわけだ。
ふたたび街でくるみを見つけた。しかし、声をかけることはできず、ただ後をつけて、この店まで追いかけてきたのだ。二度とはない絶好のチャンス。緊張で心臓が早鐘のように打ち、鼓動で体全体が揺れるように感じられる。口の中がカラカラに乾いていた。どうせ何も言えないのだから、黙って手紙を渡すしかないのだけど、それさえ足がすくんで動けない。そうするうちに時間ばかりが経ってしまい、手紙を渡すタイミングがどんどん遠ざかっていく。
(くるみさんのことに決着を付けなくては、自分は剣道で戦えなくなってしまう)
フラれたとしても、それはそれでひとつの決着だ。立ち向かうことなく逃げてばかりのいまの自分では、とうてい敵を倒すことなどできはしない。
そのとき、くるみが脚を動かした。そして――。
ミニスカートの奥に、白いパンツが見えてしまった!
[人妻セーラー服2]
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