人妻セーラー服2 (16)Fin
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週末に行われたインターハイ剣道個人戦の県予選大会で、政宗くんは圧倒的強さで勝ち進み、優勝した。来月行われる団体予選にも自信を持って臨めるだろう。全国も手が届くところにある。
予選大会直前にスランプに陥った政宗くんのことを、コーチや他の部員たちは心配していたのだ。スランプ克服のためにしばらく個人練習をするといって道場には顔を見せていなかったからなおさらだった。
しかし、戻ってきた政宗くんの変化は誰の目にも明らかだった。いったいどこでどんな個人練習をしていたのかと、皆が知りたがった。
もちろん、それは政宗くんと二十五歳主婦のくるみだけの秘密。誰にも明かすわけにはいかない。
政宗くんの進化に「南雲のヤツは一皮むけたな」とコーチも感心した。
セックスしたわけじゃないから、政宗くんはまだ童貞。本当の意味で一皮むけたというところまではいってないんだけどね。
女子生徒に対する態度も以前より柔和になり、その人気はますます高まった。
もっとも政宗くん本人はまだくるみのことが忘れられずにいた。
男子高校生の初恋と失恋にしては鮮烈すぎる体験だったのだもの。
予選大会の日の朝、自室で目覚めた政宗くんは、大切に隠しておいたブラジャーとパンツを取り出して、その匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。あの日、くるみが思い出にとプレゼントしてくれたものだ。もうくるみの甘い匂いは霧散してしまい、肌のぬくもりも残ってはいない。
しかし、くるみの手で射精したときの感覚がはっきりと蘇る。
この世のすべてが自分の手の中にあるというような全能感。
そして甘い幸福で満たされたキスの感覚。
「くるみさん」
声に出して名前を呼んでみる。
切ない憧れ。
年下の少女のはずなのに、まるで大人の女性のような思慕を感じた。(くるみは実際に大人の女なのだけど、政宗くんは最後までそれを知ることはなかった。おかげで、陽蘭高校には結婚している女子生徒がいるのだと、ずっと思い込んだままだった。)
「俺は勝ちます!」
政宗くんはよく晴れた朝の空に向かって叫んだ。
そして、その言葉どおりに政宗くんは勝ち進んだのだった。
さて、一方のくるみである。
政宗くんとの一件から数日後、くるみは宅配便の荷物を受け取った。
中身はブレザー各種、スクールブラウス各種、スクールベスト各種、スクールリボン各種、ミニスカート各種、それからそれから――。
こんどはブレザー制服のJKコスプレを楽しんでみようとしていたのだ。
性の冒険は、くるみのこともまた変えてしまっていた。あまり好ましい変化というわけではなかったのだけれど。どこかで痛い思いをしないと止まらないんだろう。そのとき無事で済むとは限らないけどね。
くるみはブレザー制服を着て、姿見の前に立った。
くるりと回ると、ミニスカートがふわりとひるがえった。
リミッター解除だ。
限界なんてない。
おわり
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