女同士ってなんだか不思議な感じだ。なんだかすごく優しい気持ちになれる。
パンツも脱いで全裸になりたいけど、さすがにもなかさんにそれを求めるのは申し訳ない。
「こういうの、ペッティングって言うんですよね。こうしてるとね、もなかさんの体温が伝わってくるんです。あったかくて、ママに抱かれているみたい。あずきさんもそうだけど、もなかさんもママと同じ匂いがします。優しくて包み込まれるみたいな感じ」
「あずきにもこんなふうに甘えたのですか?」
「キスしたわ」
「なんですって!?」
もなかさんが驚いて起き上がろうとした。でも、わたしが上に乗っているので、また仰向けになった。
もなかさんのおっぱいで顔をはさみこんですりすりしながら、
「わたしがあずきさんにお願いしたんですよ。わたし、あずきさんのことも大好きだわ。あずきさんはレズビアンなんですよね。わたし、女同士の恋愛とかセックスにもすごく興味あるわ」
「そんなの不自然じゃないですか」
「まあ、もなかさん。女が女に恋をしてしまうのって、ごく自然なことだと思いますけど。お互いに好き同士ならセックスしたいと思うのも当然だし」
と、言ったものの、実はよくわからない、というのは白状しておこう。恋らしきものを知ったのだって、ほんの数日前のことなんだから。
だけど、誰かを好きになって、その人と肉体的にも結ばれたいというのは当たり前のことだと思う。性別なんて関係ない。
「それに、もなかさんはさっき、恋愛のことはよくわからないって言ったじゃないですか。わからないのに頭ごなしに否定するなんて、どうかと思いますけど」
「わたくしは……」
もなかさんは何か言いかけて、言葉に詰まった。
わたしはもなかさんの首に抱きついて、
「あずきさんから聞いたのですけど、高校の卒業式でもなかさんに告白した、って。でも、返事はもらえなかった、って」
「あずきは高校時代は女子にモテたのですよ。あの子は同性愛者であることを隠そうとはしませんでしたし、実際、うちの学校では同性愛のカップルは多かったですから。あの子は何人もの女子生徒と付き合っていましたわ」
「あずきさんらしいですね」
「わたくしは自分から人付き合いをしようとはしなかったですし、友人も少なかったのです。恋愛など興味ありませんでしたし、それで構わないと思っていました。あずきとは同じ寮住まいだったので、仲は良かったのですが、女同士なのに告白されても困ってしまいますよ」
「それでも卒業してから二年間も一緒に暮らしているのでしょ? 気持ちに変化とか起きないですか?」
もなかさんはかすかに笑った。
「二年間も同じ部屋で寝起きしているのですよ。もう家族みたいなものです。もし、わたくしが同性愛者だとしても、いまさら恋愛でもないでしょう」
「だけど、あずきさんはいまでももなかさんのことが好きだって言ってましたよ」
言ってしまってから慌てて口をつぐんだけど、遅かった。いつもいつも考えなしに思ったことを口にしてしまう。この癖、なおさなきゃ。
もなかさんは体を固くした。
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