うーん、どうしたものだろう。
お昼ごはんのあと、わたしは自分の部屋でひとり悩んでいた。
「ああ、お兄ちゃんがいたらなぁ。お兄ちゃんがほしいな」
わたしはひとりごとをつぶやいた。
ベッドに寝ころんで、ピンクのメイド服のスカートをまくり上げる。パンツの上からアソコに触れた。
成長した弟の姿を思い描きながら、ゆっくりとアソコをこする。
「ああんッ、悠里ぃ……」
オナニーは物心ついたころからしている。実際、わたしが覚えているいちばん古い記憶は、オナニーにふける自分の姿だ。こたつの天板の角のところにアソコをこすりつけると気持ちいい、っていうのを何かの拍子に発見したんだと思う。
以来、毎日のようにオナニーしてる。そのせいか、わたしの体はかなり敏感になっちゃったみたい。オナニーっていう言葉を知ったのは中学生になってからだったけどね。
「莉子ちゃん、好きだよ。子供のときからずっと恋してた……」
「わたしもだよ。悠里とセックスしたい」
空想の中の弟のセリフも自分で口に出しながら、パンツの中に手を入れた。
ちょっとだけ濡れてる。
十八歳くらいになった悠里が、覆いかぶさるようにキスをしてくるところを想像する。
悠里とは抱き合ってキスをしたことが何度もある。だから、空想の中でも肌の触れ合う感覚をリアルに想像することができた。
だけど、その先がうまくいかない。
男の子のアレが中に入ってくるときって、どんな感じがするんだろう。
最初は痛いという話は聞くけれど。
すぐに気持ちよくなるのかな。
ぜんぜん想像がつかない。
「本物のセックスをしたいよぅ」
初体験はパパとするつもりだったけど、これはボツになってしまった。じゃあ初めてのセックスを誰としようか。悠里はまだ子供だからダメだ。十歳じゃあ精通してるかどうかも怪しいもんね。
わたしはオナニーをやめて、カレンダーに目をやった。高校入学まであと二週間だ。
彼氏、できるかな。
考えてみれば、わたしは恋愛については奥手なのだ。セックスしたいと思うようになったのも実は中学三年生になってからだった。それまではオナニーをしていても、セックスは自分にはまだ早いのだと思ってた。別に我慢してたわけじゃない。そういう気持ちが湧いてこなかったんだ。
中学のときの同級生の男の子たちはどうかな。この人なら、っていう子はいなかった。わたしは引っ込み思案でおとなしい子だったから、男子に人気のあるほうじゃなかった。告白されたことはあるんだ。でも、ぜんぶ断ってしまった。
高校に入ったら、すてきな出会いが本当にあるのかな。あるとしても、出会ってから親交を深めてセックスするまで、どのくらいの時間がかかるだろう。わたしの入学する愛妻学園はもともと女子校だったこともあって、男子の数が少ない。かっこいい人いるかな。競争率高いだろうな。わたしなんか相手にしてもらえるかな。
だからといって、よく知らない人と初体験をするのは、やっぱり怖い。
「うーん、うーん」
ベッドの上で唸っていると、ママがドアをノックして部屋に入ってきた。
「ねえ、莉子にお使いを頼みたいんだけど、いいかな?」
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