異次元を覗くエステ (13)

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「美緒!」

目の前で美緒が頬を紅潮させ、歯を食いしばって、触手に犯される恥辱に耐えていた。

しかし、かすかに目を開けて彩香を見ると、大きく息を吐き出して体の力を抜いた。

触手の男根を受け入れたのだとわかった。

すぐに美緒が体をピクピクさせはじめた。

「ああ……、か、感じちゃう……、彩香……愛してる……」

「美緒、あきらめるな! 感じちゃダメだ!」

彩香は美緒が何をしようとしているのかに気づいて真っ青になった。

感じなければ食べられないという保証はない。しかし、感じてしまえば食べられるという確信はあった。不感症の女だと判断されれば、マズイ肉だと思われてゴミ箱行きになるかもしれない。そうすれば助かるチャンスもある。

このまま触手に犯されつづければ、またイッてしまうのは避けられないだろう。彩香はセックスでイッたことがないし、美緒はセックスの経験が一度しかない。しかし、さきほどの怪物の執拗な愛撫に、ふたりともイカされたのだ。

けれど、親友のむごたらしい死を目の当たりにしたら――。そのあとでオーガズムに達することなど不可能だ。

つまり、先にイッた方が食べられ、もうひとりを逃がすチャンスを作るのだ。

美緒がやろうとしているのはそれだ。

「美緒、早まるな!」

そこまで美緒を追い詰めてしまっていたのかと、彩香は愕然とした。

そのせいで、必死の抵抗をしていた彩香の下半身から力が抜けた。

彩香のアソコは、いまでは泉のように湧き出している愛液でぐしょぐしょになっている。

一瞬の隙を突いて、巨大な黒い男根の丸い先端がアソコに入り込んできた。

「ああっ、ああ……」

一気に奥まで男根がねじこまれるものと覚悟したが、そうはならなかった。

男根の先端がそっとアソコに押し付けられる。

ゆっくりと入り口が押し広げられていく。

アソコがどんどん開いていくのを感じた。触手の男根が思っていたより太いのだ。

こんなモノがアソコに入るのかと、ちょっと不安になった。

そんな彩香の反応を察知したのか、男根の動きがさらにゆっくりになった。

「あ……」

声が漏れてしまい、彩香は口をきゅっと閉じた。

アソコが熱い。男根も熱くなっているが、それ以上に彩香のアソコが熱くなっている。

体の奥で快感がマグマのようにうねっている。

このまま快感が高まっていけば爆発してしまうだろう。

頭でいくら否定しようと体が期待してしまう。

さきほど舌の群れに襲われた時の圧倒的な快感を思い出して、恐怖にかられた。

アソコがなおも大きく広げられていく。

圧迫感を感じた。

アソコが男根を押し返そうとしている。

太くて入らないのだ、と思った瞬間、急にアソコが閉じたように感じた。

亀頭の部分が入ったのだ、と彩香は悟った。

怪物は一息つくように動きを止めたが、すぐに挿入を再開した。

ゆっくりと男根が彩香の奥へと進み始める。

これまでの触手の責めで十二分に濡れているせいか、痛みは感じなかった。

「あうぅぅぅっっ!」

男根はたっぷり時間をかけて彩香の奥へと入ってくる。潮が満ちるようにゆっくりとだが、有無を言わせぬ力強さでぐいぐいと子宮を目指してくる。

かつて彩香が身をまかせた三人の男性は、前戯もそこそこに挿入してきたものだ。

最初の男は、きみの体が魅力的すぎてガマンできないんだ、と言って、いつも一気に奥まで入れてきた。セックスが痛いものだという知識はあったから、痛いのはガマンした。相手が気持ちよさそうにしているのを見て、彩香は自分も気持ちいいとウソをついた。本当はちっとも気持ちよくはなかったのだが、いつもイッたフリをしていた。

二番目の男は、オレのはデカイだろと自慢していた。セックスのテクニックには自信があるようだったけれど、一度の行為の中で何度も体位を変えるので集中できなかった。彩香は一度も気持ちいいと思ったことはない。

最後に付き合った男は、いつも乱暴なピストン運動をして、自分だけが満足して終わってしまうのだ。痛いだけだったのだが、それでも彩香はエチケットとしてイッたフリをした。男はそれを信じたし、そうすることで恋人関係はうまくいっていた。

人間的には三人ともいい人だったのだ。誠実で、仕事もでき、いっしょにいて楽しかった。すてきな彼氏だねと友人たちから言われていたし、彩香自身もそう思っていた。

ほとんどの女性がセックスのときイッたフリをしているのだと知ったときは、やっぱりそうかと思った。

誰もがそうなのだ。それがフツーの人生なのだ。

セックスが夢見ていたのよりずっとつまらないものだと知って、彩香はたいそう落胆したものだ。それがダメだというのじゃない。セックス依存症の淫乱白痴女でもない限り、愛や信頼の方がはるかに大切なはずだし、イッたフリをすることで男性がより満足するというなら、そのくらいの気遣いをするのは別に何でもない。

最高の満足ではないかもしれない。けれど、世間並みの満足ではある。それでいいはずなのだ。

それなのに、これまでどの男も与えてくれなかった――もしもそんなものが存在するなら体験してみたいと思っていた――圧倒的な快感が、いま全身に広がりつつある。

挿入されることがこれほど気持ちいいと思ったことはない。

しかもその快感を与えてくれるのがこんな超現実的な化け物だなんて!

ここには愛も信頼もない。

こんなことで感じていいはずがない。

こんな快楽はまちがっている。

いくら頭で否定しても、沸騰する寸前のお湯のように温度をあげていく快感をどうすることもできない。このままイカされて食べられるしかないのか。

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