「恥ずかしい……。でも、すごく感じちゃったよ。お尻がこんなに感じるなんて、なんか、くせになりそう。レオくんのせいで、あたし、どんどんダメになってく」
レオくんが笑いながら、あたしを抱きしめた。
「さっきの奥さんの話からすると、奥さんは高校生のころからダメなひとだったように思いますけど」
「うう。誰にも話したことないんだからね。レオくんもほかのひとに言い触らしたりしたらやだよ」
「しませんよ。ぼくだけに話してくれたことがうれしいんですよ。おじさんとはその後どうしたんですか?」
あたしはレオくんにキスすると、
「三ヶ月くらい、付き合ってた。もちろん、友だちにもおじさんの奥さんにも内緒でね。おじさんとは五回くらいセックスした。でも、ある日、もう会わないほうがいい、って言われたの」
「奥さんにバレたんじゃないんですか?」
あたしは笑って首を振った。
「結局おじさんにとってあたしは娘の代用品だったのね。もともと欲しかったものを手に入れたら、あたしのことは要らなくなっちゃったの」
「まさか」
「あたし、いまでもその友だちのことを思うのよ。あの子がお父さんとセックスするようになったのは、あたしのせいなんじゃないかってね。もしかすると最初はむりやりだったのかもしれないし。あたしがおじさんの背中を押しちゃったのかも」
ちなみに、あたしのふたり目の男性は、メイドカフェで働いているときの同僚のメイドさんの彼氏だった。相手のほうから誘ってきたとはいえ、うしろめたさは感じていたよ。それからその男はそれほどセックスが上手でもなかった。
あたしはセックスというのは期待していたほど気持ちのいいものじゃないんだな、と思うようになった。でも、浮気されているとはまったく気付いていない同僚メイドさんと、お店で何食わぬ顔で接しているとき、どうしようもないくらいスリルに酔ってしまったんだ。
そのときのスリルも、人妻となったいま、こうして夫以外の男性に抱かれているスリルには遠く及ばない。それに、レオくんとのセックスは新しい刺激に満ちていて、楽しくてたまらない。
レオくんが言うように、あたしは不倫好きのダメな人間なのかもしれない。
あたしとレオくんは、もう一度お互いの体を洗った。お風呂を出て、素っ裸のままレオくんに支えられるようにして寝室に戻った。
ふたりしてベッドに倒れこんだ。
お布団にもぐりこんで、レオくんに抱きついた。
そろそろ夕方になる。則夫さんが帰ってくる前にレオくんは出ていなかなくちゃいけない。こうしてレオくんの腕に抱かれていられるのは、あと一時間かそこらだろうな。だけど……。
離れたくないな……。
レオくんともっと一緒にいたい。
好きになっちゃったんだ……。
どきどきが止まらない。
則夫さんのことは愛している。世界でいちばん大切なひとだ。それは変わらない。
だけど、レオくんのことも好きなんだ。
セックスフレンド。それはたとえばテニスクラブでダブルスを組んでいる相手のようなものかな。大好きだけど、則夫さんを愛する気持ちとはちょっと違ってる。人生のパートナーとは違うんだ。
こんな関係を続けていけたらいいな。
[新婚不倫]
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