第13話 目覚めた少女たち (06)

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 一条さんは唇を離すと、じっと見つめてきた。

「ミーナちゃんばかり贔屓してるくせに」

「もちろんミーナちゃんのことも好きだが、きみは特別だ。俺はきみに出会ったおかげで永遠に変えられてしまった」

 美菜子ちゃんが横でモゾモゾと気だるそうにあたしたちの方に体を向けた。

「一条さんはいつも沙希ちゃんのことばかり話してましたよ。沙希ちゃんとまたセックスしたい、あの子を抱きたい、って。わたしのテクニックじゃ、まだ一条さんを満足させてあげられませんし」

「ミーナちゃんとのセックスは楽しい。俺はこの子にいろいろ教えてあげるのが好きだ。こんなふうに思うのも、沙希ちゃん、きみに恋してしまったからだ」

 さすがに照れてしまう。

 ふたりにこんなこと言われたら、ヤキモチ焼いてたのがバカみたい。

「おバカさん。あたしは娼婦だよ。お金をもらって、すこしのあいだだけ恋人のフリをしてあげるの」

「じゃあ、いまだけは俺の花嫁になってくれ」

「バカね。ミーナちゃんもいるんだ。重婚罪になってるよ」

 一条さんはあたしの口をキスでふさいだ。

 抱かれているあいだ、あたしはお客さんに恋をしてしまう。

 恋をしてるときの気分があたしを虜にしてしまう。

 かりそめの恋だけど。

 それでもこの世界が生きるに値するものだと思わせてくれる。

 別に一条さんだって本気であたしと結婚したいと思ってるわけじゃない。

 けれども、この人があたしのことを好いてくれているのはセックスで分かる。

 援助交際をしてる女の子だけど――。

 お金で買った女の子だけど――。

 それでも大切にしてくれる。

 だから、この人にも幸せをあげたい。

 一条さんは美菜子ちゃんのときより優しい愛撫で前戯をした。あたしが壊れやすい女の子だと思ってるみたいに。時間をかけてとろけさせてくれる。たっぷり前戯をしてもらうのが好きだって、一条さんは知ってるから。

 脚を大きく開かせられて、クンニされる。

 ざらざらした舌先でクリトリスを転がされる。

「んふ……ん」

 声が漏れたところで美菜子ちゃんと目が合った。熱帯魚の水槽に見入る子供みたいに、あたしのセックスを熱心に見ている。はずかしい。

 美菜子ちゃんがそっと手を握ってきた。一条さんの愛撫に体が反応するたび、あたしもキュッキュッと手を握ってしまう。

「あ……、ん……、ああん……」

 高まっていくあたし。美菜子ちゃんは熱にうなされる子供を安心させようとする母親のように、肩を抱いておでこをくっつけてきた。

「沙希ちゃん……、カワイイ……」

 美菜子ちゃんに見られてることで、あたしもいつになく興奮してる。

 一条さんがあたしの足を持ち上げて開かせ、挿入してきた。

「んんッ……、ん……、ああ……」

 グイッと奥まで挿れられて、痛みに顔を歪めた。

 美菜子ちゃんの手をギュッと握った。

「んッ……、んッ……、んッ……」

 激しいピストン。一条さんも我を忘れてる。

 さすがにもう射精したい気持ちを抑えられなくなってるんだろう。

 美菜子ちゃんが抱きしめてくる。

 さっきあたしがしたように、こんどは美菜子ちゃんがあたしにキスをしてきた。

 舌が吸い出され、甘噛みされた。

 幸せいっぱいのキスだ。

 心が満たされていくのを感じた。

 美菜子ちゃんを抱き寄せて、こんどは美菜子ちゃんの舌をしゃぶってあげる。

 美菜子ちゃん……、美菜子ちゃん……、美菜子ちゃん……。

 いままで感じたことのない気持ち。

 いままで感じたことのない快感。

 一条さんを触媒にして女の子同士の愛情がふくらんでいく。

 さんざん我慢してた一条さんは、体位を変えることなくあたしの中で発射した。

 一条さんがアレを抜くと、あたしは夢中で美菜子ちゃんに抱きついて、ディープキスをつづけた。

 それから数時間、あたしたちは三人で交わりつづけた。

 こんなに夢中でセックスに耽ったのは初めてだった。

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