人妻セーラー服2 (07)

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 真っ青な顔をして駅のホームにうずくまる女子高校生。まわりにいた乗降客が何事かと遠巻きに見てる。

 くるみは肩で息をしていた。体が熱い。いま体験したことが信じられない。

(なに考えてたんだ、あたし。レイプされてみたいだなんて……)

 次第に思考力が戻ってくると、まわりの人の目が急に気になり始めた。

 これ以上、注目を浴びるのはマズイ。

 だって、ほんとは女子高生じゃなくて二十五歳の主婦だもの。

「くるみさんッ」

 背後で自分を呼ぶ声がした。

 振り向くと、さっきの男子高校生が列車を降りて近づいてくる。

 恐怖!

(なんでこの子があたしの名前を知ってるの!?)

 答えはストーカーだから。

 知らない男が自分の名前を知ってる、というのは実際に経験してみるとすごく怖いよね。

 ただ、くるみが恐れたのは正体を知られてしまったんじゃないかってこと。

 JKコスプレして痴漢の男子高校生に身を任せてしまおうとするメス丸出しの主婦。

 それを知られる方がストーカーに痴漢されるより一万倍怖い。

 くるみは顔面蒼白で立ち上がると、一目散にホームの階段を駆け下りた。

 残された政宗くんもまた青い顔をして呆然と立ちすくんでいた。

 いま体験したことが信じられない。

(自分は……、いったい何をしてしまったんだ……)

 じっと両手を見る政宗くん。

 くるみの肌の感触が蘇る。

 くるみの体温がまだ残っているように感じられた。

(やわらかかった……。くるみさん……)

 真っ青だった顔が真っ赤になった。女子に免疫のない童貞男子高校生というのは、このようにどうしようもないバカなのである。

 しかし、自分はとんでもないことをしてしまったという後悔の念が津波のように押し寄せた。武道家として許されぬことだ。これもみな己の心の弱さに負けてしまったから。情けない。

(くるみさんに謝罪しなくては。謝って済む話ではないが、このまま帰してしまったのでは自分は腹を切るしかない)

 政宗くんはふたたびくるみを追ってホームの階段を降りていった。

 どうやらストーカー行為はまだまだつづくようだ。

 そのころ駅舎を出たくるみは、バス乗り場のベンチにへたり込んでいた。

(さっきの痴漢の子、喫茶店にいた高校生だ……。もしかして、あたしを追いかけてきたのかな。あたしがパンツを見せたから……?)

 まさにそのとおりである。

(だけど、ちょっとパンツが見えただけだよ? なのに、あんなに欲情して襲いかかってくるなんて……)

 と、思いつつも、年下の男を狂わせてしまったことに内心ちょっと得意な気分のくるみ。

(痴漢行為で触られただけで、レイプされたわけじゃないんだけど……)

 くるみは急に胸がドキドキして両手で顔を覆った。

(レイプされてみたいなんて、本心じゃないッ。本気でレイプされたいわけないじゃん)

 そう言い聞かせないといけない程度には、レイプ願望を感じていたわけだ。

 実際のところ、中高生くらいなら、レイプされることにある種の憧れを持っている女の子は少なくない。自分に惚れた男が思い余って強姦に及んでしまうという、愛のあるレイプは少女マンガでもよくある。オナニーのときの妄想ネタの定番だしね。

 もちろんそれは思春期の妄想であって、本当にレイプされたいと思ってる子なんてほとんどいない。だから、普通ならそれほど悩むほどのことではない。

 でも、くるみの場合はどうなのか?

 先週、あかねくんとラブホテルに行ったときは、レイプされるかもと思ってコンドームを用意していた。いまだって、通学バッグの中には避妊具を入れてある。

 本当にレイプされてみたいと思ってる子はほとんどいないけど、ゼロじゃないんだよね。

 自分のことがよく分からず、ため息をつくくるみ。

 そこに政宗くんが息を切らせて駆け寄ってきた。

「く、くるみさん!」

「ひッ」

 またまた現れたヘンタイ男子高校生に、くるみは恐怖にかられて立ち上がった。体の前を通学バックで覆ってガードするくるみ。

 その足元に政宗くんはヘッドスライディングの勢いで滑り込んで、土下座した。

「申し訳ありませんでしたッ!! くるみさんッ、自分は……、自分はくるみさんにとんでもないことをしてしまいましたッ!!」

 おでこを地面に擦り付けて、大声で謝罪の言葉を言う政宗くん。

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