はじめてのフェラチオは、ハッカの味がした。
誰もいない早朝の図書室、木製の書架にはさまれた暗がり。ひざまずいた相沢操が、懸命に男のモノをしゃぶっていた。矢萩豊は、壁に背をあずけて立ち、教え子の髪をいとおしげに撫でている。
操は少し動きをゆるめて、上目づかいに担任教師の顔を見ると、
(うまくいかないな……)
と思った。
矢萩は黙ったまま操を見下ろしていた。数学担当の矢萩にとって、生徒が自力で問題を解こうと四苦八苦しているのを、忍耐強く見守っているような心境なのだろう。
遠くで運動部の朝練の声が聞こえる。校舎の中にもざわつく気配が大きくなってきていた。図書室は特別教室のならぶ四階のすみにあるので、ホームルームが始まる前のこの時間に誰かがやってくることはないはずだ。でも、もし誰か来てこんな姿を見られたら弁解のしようがない。はじめはそのスリルにどきどきしたけれど、いまは焦りを感じ始めていた。時間がたつほど登校してくる生徒が増える。そうなれば、男性教師の股間に顔をうずめる女子生徒の痴態を誰かに目撃されてしまうかもしれない。
操はふたたび矢萩のモノを咥えこむと、上半身全体を前後に動かした。矢萩はベルトをゆるめてズボンのファスナーをおろしただけの状態だったので、ちょっとやりにくい。だからといって、学校の中で裸になってもらうわけにもいかなかった。
週末には会えなかったから、うんとサービスしてあげるんだ、と操は勇んでいた。今日のために、弟が隠し持っていたアダルトビデオ雑誌で、フェラチオのやり方も予習してきた。袋がせりあがってきたらイキそうってことだから、そうなったら口を離して、寸止めじらし作戦でイジメちゃおう、などと考えていた。
でも、いざ口に含んでみると、亀頭の部分が思っていたより大きくて、ほおばるだけで精一杯だ。袋の様子なんて見えないし、手探りじゃよくわからない。正直ギブアップしたい気分だったけど、自分からフェラチオしてあげると言い出した手前もある。
(そうだ、裏のスジを舐めると気持ちいいって書いてあったな)
操は舌を使って、亀頭の裏側を攻めた。複雑な凹凸を舌先でなぞると、矢萩がかすかに反応した。
それに気をよくした操は、出し入れする速度をあげた。陰茎を両手で包み込むように持ち、手と口と舌で刺激を繰り返す。
操は矢萩の興奮が高まっていくのを感じた。どきどきする。濡れてきた。静まり返った図書室の中で、操の唾液が矢萩のモノに絡みつく水音に、二人の荒くなる息づかいが加わった。
矢萩の下半身から噴出した汗が、湯気のように広がって、操の顔を包んだ。
(もうちょっとだ……)
なおも懸命に愛撫を続けると、矢萩がときおり呻くような声を上げる。ついに矢萩は、操の顔を引き離そうとする仕草をした。でも操はそれを拒否して、ますます動きを速くした。
「操、出そうだ」
矢萩が言った。
それでも構わず、操は矢萩のモノを放さない。次の瞬間、矢萩の体に緊張が走った。操はそれを察知して、反射的に亀頭の先端を舌で押さえた。
矢萩が両手で操の頭をつかんだまま、下半身を震わせた。
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