「あううぅぅっ! あう、あう、うわぁぁぁっっ!」
ベッド脇の窓が開け放ったままになっているにもかかわらず、あたしは叫び声をあげた。たぶん外に聞こえてる。
あたしの汗ばんだ体から発するいやらしい匂いが、体に塗りたくられたクリームの甘い香りと混ざり合って、バージンを思わせる匂いになって立ちのぼった。
「ああぅぅっ、イイッ! いいよ、レオくんッ!」
「ぼくも! いいっ! 気持ちいいよ、奥さぁん」
レオくんの動きが一段と激しさを増した。
「奥さん、さあ、行きますよ。フィニッシュです。奥さんの中に、たっぷり出しますからね」
そのセリフに、あたしは消えそうな意識の奥で恐れを感じた。
きょうは大丈夫な日だ。だけど、夫以外の男性の精を受けることは決して許されない裏切りに思えた。
「だめ! だめだよ、外に出して!」
「そうはいきません。わかってるんですよ、安全日なんでしょう?」
「そうだけど。ああ、ダメ。お願いだから外に……!」
あたしの懇願を無視してレオくんはストロークを速めた。
あたしはいまになって初めて、自分が恐ろしい過ちを犯しているのだと実感した。
とっくに一線を越えているのに。どこからが浮気だったんだろうだって? 中出しされなければ不倫ではないとでも思ってたんだろうか。もうどんな言い訳も通じない。性欲に溺れた浅ましい女。そんなふうにあたしは自分を罵った。
でも、止まらない。
もっと欲しい。
突然レオくんが動きを止めて、体をぶるっと震わせた。
中に出された。注ぎ込まれている。
「受け止めてください、全部」
「ああぁ、レオくんの熱いのが出てる……」
あたしもまた昇りつめた。
レオくんは少しのあいだそのままじっとしていたけど、やがて、ふうっ、と大きく息をついた。あたしの脚を下におろすと、あたしの髪を撫でながら優しくキスをする。そしてアレを抜くと、
「気持ちよかったですよ、奥さんの中」
あたしはレオくんの美しい顔をうっとりと見つめた。オルガスムスの波がゆっくりと引いていく。
不倫しちゃった……。
でも、すごく感じた……。
すごく、よかった……。
「レオくん……」
レオくんはあたしの胸にまたがると、まだ勃起したままのモノをあたしの顔の前に差し出した。あたしの体内で混ぜ合わされた生クリームとカスタードクリーム、それにレオくんの精液とあたしの愛液がべっとりと付いている。小さく千切れたシュー皮が、アーモンドスライスをトッピングしたようにアクセントを添えていた。
「さあ、召し上がってください。ぼくたちふたりのスイーツです」
ぼんやりとした気持ちで、ソレを口に含む。舌を絡ませてクリームを舐めた。クリームの甘さと精液の苦さ、それにちょっぴりしょっぱいあたしの愛液の味が混じっている。
「少し大人の味がするね」
あたしは心地よい疲労を感じながら言った。
レオくんもクリームを指ですくいとって自分の口に運んだ。
なおもあたしが舌を這わせると、レオくんはまた感じてきたらしく、
「あ、ああ、んん」
と少女のような声をあげて、ふたたび射精した。レオくんが放った熱い液があたしの顔に浴びせられた。
あたしは力尽きてベッドに沈み込んだ。レオくんはあたしの股間に顔をうずめると、あたしのアソコから溢れる甘くて苦い蜜をむさぼった。
女の子って何でできてる? お砂糖とスパイス、それからいやらしいものいっぱい。そんなものでできてるんだ。
いまのあたしは甘いクリームたっぷりのスイーツ。
ちゅうちゅうといやらしい音がする。吸われてる。
その刺激に、あたしもなまめかしい声をあげて背中を仰け反らせた。
[新婚不倫]
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