ソレが彩香と美緒の股間にあてがわれた。
「ひぃ!」
ぐっ、とアソコを押さえつけられた。
彩香は挿入されまいとして、お尻の穴に力を入れた。
絶頂に達した瞬間の女の肉が本当に美味なのかどうかはわからない。しかし、この怪物はたしかにそう考えているようだ。
美緒も同じことを考えているらしい。
「彩香……、感じちゃダメだよ。この怪物、わたしたちをいっぱい感じさせてから食べるつもりなのよ。きっと、そうすると肉が美味しくなるんだわ。だから――、感じないようにしていれば、怪物もわたしたちを食べるのをあきらめると思うの」
そんなにうまくいくだろうか。
それに一度しかセックスの経験がなく、レズビアンであり、しかも男性を嫌悪している美緒に比べれば、何度も男に抱かれた自分の方が感じやすいはずだ。実際、さっきは死ぬほど感じてしまった。
だとしたら、食べられるのはあたしが先だ。
「あきらめないで、彩香。そうだわ。わたしにエッチなことをされているところを想像するのよ。わたしはレズビアンで、ずっと前から彩香にあんなことやこんなことをしたいと思ってたの。夜、ベッドの中であなたの体を愛撫することを思い浮かべながらオナニーしたわ。どう? キモチ悪いでしょ? エッチな気持ちなんて醒めちゃうでしょ?」
「美緒は、女同士でエッチなことした経験があるのか?」
「あるわけない! わたしが好きなのは彩香だけよ。彩香以外の子とエッチなことなんてしたくない。どう? 女同士でセックスなんてキモチ悪いでしょ? ヘンな気持ちなんて一瞬で醒めるでしょ? それがフツーだよ」
女同士なんてキモチ悪い――。
高校時代、彩香がそう言ったせいで、美緒は好きでもない男を相手に処女を散らせた。
男なんてキモチ悪いだけ――。
美緒の後悔。それは彩香自身が心の奥底で感じているものと同じではないのか?
美緒に抱かれるところを想像してみる。目の前に美緒が浮かんでいるのだから、想像するのはたやすい。
とたんに心臓が高鳴り、全身が紅潮するのを感じた。
彩香は激しい戸惑いとともに、空想を頭から振り払った。
美緒から目をそらし、わきあがってくる嫌悪感に顔をしかめた。
「ゴメンね、彩香……」
水滴が彩香のほっぺたに当たって跳ねた。彩香が美緒の方に視線を戻すと、美緒が大粒の涙をぽたぽたとこぼしていた。
「ゴメンね、彩香」
と、美緒が震える声で繰り返した。
「こんなときに告白なんかして、不愉快な思いをさせてゴメンね。大好きないちばんのお友達。わたしが食べられるから、彩香だけでも逃げのびて」
そう言って弱々しく微笑むと、美緒は目を閉じた。
しかし、すぐに顔をしかめた。怪物の男根が挿入されたのだ。
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