血のつながった親子なら、セックスしても問題ないと思う。いや、世間一般からすれば問題なんだろうけどね。わたしにとってはその点は問題じゃない。でも……。
わたしとパパは血がつながっていない。パパとわたしがその気になれば、結婚だってできるんだ。そんなふたりがママに内緒でセックスするのは倫理的に問題があるんじゃないだろうか。
これって家庭内不倫ってこと?
(どうしよう……)
わたしはさんざんためらってから、
「いろんな人とセックスを楽しみたいの」
と言った。パパがドン引きするかも、と心配したけど、予想に反してパパはうれしそうに満面の笑みを浮かべた。
「ああ、そういうことか。確かに莉子はすこし大人になってきたみたいだな」
そう言われて、顔が熱くなった。
パパにとってわたしはセックスの対象になるくらいに大人になってるのかな。
ママと比べてどうかなんて、考えてもしかたがない。
パパとママはすごく愛し合っている。ふたりともわたしを愛してくれるし、わたしもふたりを愛している。家族として愛し合っているんだ。
ママを裏切るようなことはできない。
(ああん、なんてことだ。普通は血のつながりがあることが障害になるはずなのに。血のつながりがないことが、かえって家族の絆を壊してしまうかもしれないなんて)
いろんな考えが頭の中をぐるぐる回って、何も考えられなくなってきた。
どうするか迷っていると、ずっとそばで見ていたママが退屈になってきたのか、大きく伸びをした。
「あたしも悠里と遊んでこようかな」
そう言って、部屋の奥に引っ込むと、階段を上っていった。
(パパとふたりきりになっちゃった……。もう止めてくれる人はいない)
いいのか、莉子? ママに内緒でパパとセックスするなんて。
ママはなんて思うだろう?
やっぱりママに断ってからのほうがいいんじゃないかしら?
(いやいやいや。そーゆー心配する前に、まずパパに女として認めてもらわなきゃ!)
いまは突っ走るしかない。
わたしは両手を背中にまわしてブラジャーのホックをはずし、胸を隠しながらブラジャーを取った。胸を手で隠したのは、そのほうがエッチに見えると思ったからだ。実際には恥ずかしさはぜんぜん感じない。パパもそうなんだろうな。わたしはあきらめて隠すのをやめると、パンツを脱いだ。
「パパはわたしがよその男とセックスすることをどう思う?」
「娘が巣立っていくのは寂しいよ。でも、いつまでも巣立たないままでいられても困る。お前が一人前の人間として生きていけるように育てるのがパパとママの仕事だ。教えるべきことは教えてきたし、お前は思慮深い娘だ。愚かなことはしないと信じている。でも、困ったときはいつでもパパかママに相談しなさい」
ゆうべ、お風呂でママに相談したときも同じようなことを言われた。パパもわかってくれると思ってたんだよね。
そして、いままさに相談したいことがあるんだ。
「実はね、初めてのセックスはパパとしたいな、って思ってたの。親子とはいっても血のつながりはないんだし」
言っちゃった……。
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