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あたしは、新しいページを書き込んだばかりのノートを見た。大きな文字で、お兄ちゃんに告白したよ、お兄ちゃんはOKしてくれた、お兄ちゃんと結ばれた、すごくうれしい、そんな言葉が書かれていた。そして、ウエディングドレスを着たあたしと、横に立つお兄ちゃんのイラストを描いてあった。そのイラストの横に、自分の名前とお兄ちゃんの名前を書き加える。
ゆうべのことを、あたしは何度も心の中で反芻していた。ずっと覚えていたかった。お兄ちゃんと結ばれた夜のことを。あのあと、あたしたちは抱き合ったまま眠った。朝、目が覚めたとき、お兄ちゃんはちゃんと隣にいてくれた。夢じゃないんだと思って、二人で笑いあった。あたしは起き上がってシャワーを浴びた。そのあとでお兄ちゃんもシャワーを浴びたけど、そのことでお母さんたちが変に思ったかもしれない。
あたしは、お兄ちゃんにプロポーズされて、それを受けた。兄妹だから、本当には結婚はできない。でも、そんなのは法律の上でのことだ。兄妹でも、男と女として愛し合っているんだ。だから、結婚するのは自然ななりゆきなんだ。そう思った。
お母さんたちには、いつか話すつもりだ。そのことはお兄ちゃんとも相談した。わかってはもらえないかもしれないけど、こっそり交際するのは嫌だった。ずっと秘密にしたままにしておくのは、お母さんたちを裏切っていることになると思ったからだ。
たぶん、辛いこともあるのだろう。苦労することもあるのだろう。さしあたってはお兄ちゃんが実家を出て行ったら、寂しくてたまらないだろう。けど、いま、あたしはすごくすごくしあわせだ。
詳しいことは、帰ってきてから書こう。
そう思って、ノートを閉じた。
ドアの外でお兄ちゃんが呼ぶ声がした。あたしは返事をして立ち上がった。
二人で映画を観て、食事をして、ウインドーショッピングを楽しんだあとは、どこかアクセサリーショップに寄って、お揃いの指輪をねだるんだ。そのあとは、夕日の見える海辺の公園でお散歩しよう。恋人らしく思い切り甘えて、腕を組んで、一番星が見えるまで二人きりで過ごすんだ。
しあわせでたまらない。だから、世界中の人に伝えたい。
あたしとお兄ちゃんは恋人同士なんだ。
おわり
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