第15話 ロンリーガールによろしく (07)

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 トイレで押さえつけられてスカートをめくり上げられた。太ももの内側に書かれた文字が残っているのを見ると、新垣たちは「ぎゃははは」と笑った。

「いい心がけだね。見直したよ、鳴海。きのうあんなことされたのに、ちゃんと言いつけどおり学校に来るなんてさー、まじめかよ。あんた、ひょっとしてまた先輩たちに犯してほしいんじゃない? そんなに良かったの? よがってたもんね。集団レイプされて死ぬほど感じるなんて、どうしようもない変態だわ。ああ、そういえば、あんたの母親、ソープ嬢なんだって? 淫乱ヤリマン女の血筋かねえ。あんたも転校早々、隣のクラスの男子にまで色目使ってるようなクズだしね。父親は出て行っちゃったんでしょ? もっともそいつが本当の父親かどうか。きっと風俗女がクズ客の子を産んだんだろうさ」

 あたしは耐えられなくなって新垣を手で押しやった。

「この便所女! 肉便器のくせに反抗するんじゃないよッ」

 激昂した新垣にお腹を殴られ、体を折り曲げて咳き込んだ。

 新垣はあたしを見下ろしながら、伊原と真壁に「ねえ、あんたたち。おしっこしたくならない?」と尋ねた。二人はすぐに新垣の意図を理解して、「そうだね。ちょうどもよおしてきたところだよ」と答えた。

「便所女を仰向けに押さえつけて」

 伊原と真壁があたしの腕をつかんで、トイレの床に押し付けた。伊原が「うちらにかけないでよ」と言うと、新垣が「心配すんな。おい、便所女、抵抗するとビデオをバラまくぞ」と言いながらパンツを脱いで、あたしの顔の上にまたがった。

 新垣は中腰の姿勢で排尿した。あたしは目と口をぎゅっと閉じて息を止めた。温かいおしっこが顔にあたってパタパタと音を立てた。かすかにかぐわしい臭いがした。首を左右に回してなんとか逃れようとする。でも、そのせいで顔中がおしっこまみれになってしまった。口を閉じていても鼻から入ってくる。ほっぺたを垂れたおしっこが耳たぶの中にたまってきた。床を濡らしたおしっこがブラウスに染み込んでくる。伊原と真壁がゲラゲラ笑って囃し立てている。両足をバタバタさせて抵抗するとお腹を殴られた。思わず口を開けてしまい、新垣のおしっこが喉の奥にあたった。あわてて口を閉じた拍子に飲み込んでしまった。

 尿を出し切った新垣が立ち上がった。伊原が「ちょっと手にかかったぞ」と文句を言う。新垣が「またおもしろい動画撮れたんだからいいだろ」と返す。

 あたしは片肘で体を支えて、口の中のおしっこを唾液と一緒に吐き出した。悔しくてたまらない。腹の中が怒りで煮えたぎっていた。それなのに、「うー、うー」と唸る以上の抵抗ができなかった。抵抗しても無駄だし、もっとひどいことをされるだけだもの。

「うわー、きったねー。誰だよ、ションベンかけてやろうなんて言い出したヤツは。いくらなんでもカワイソウだろ」

 と、新垣が笑いながら言った。真壁が「オメーだろ」と笑いながら突っ込む。

「こんな姿で授業を受けるわけにはいかないよな。ゴメンね、鳴海。やりすぎたよ。仲直りのしるしに洗ってあげる」

 新垣はあたしを支えて立たせると、個室の一つに連れ込んだ。何をされるのか察して逃げようとするけど、体に力が入らない。真壁があたしの背中を押してひざまづかせた。髪の毛はおしっこで濡れていたけど、新垣は構わずあたしの頭をつかんで、便器の中に押し込んだ。真壁が水洗レバーを踏んだ。ゴゴゴッというかすかな音がしたかと思うと、勢いよく水が噴き出した。体を起こそうともがくと、新垣が体重をかけて頭を押さえつける。心が押し流される。水流がおさまると、真壁がふたたびレバーを踏んだ。何度も何度も水を流されて、ここで溺れ死ぬのではないかと思うほどだった。

 虐待は始業チャイムが鳴るまで続いた。新垣はあたしの靴下を脱がせて、濡れた顔を拭いた。髪はトイレの水で濡れてボサボサになり、ブラウスは新垣の尿を吸って体に張り付いていた。あたしは逃げるのを許されず、「さあ、教室に戻ろうか。先生が来ちゃう」と言う三人に、無理やり教室へ引きずられていった。

 自分の席に座って声を上げずに泣いた。クラスの子たちはクスクス笑いながら見ていた。担任は何も言わない。授業が始まる頃には乾き始めたブラウスやスカートからアンモニア臭がし始めた。「便所女から便所の臭いがする」「当然だよ、便所女だもん」という囁きが聞こえた。無力感に押しつぶされて、もう立ち上がれなかった。

 この当時のことは断片的にしか覚えていない。記憶がなくなることが頻繁にあったし、時間の感覚もおかしくなっていた。出来事の前後関係もはっきりしない。突然大声で叫びだすこともあった。

 新庄たちは代わる代わるあたしを犯した。一人で強姦することもあれば、二三人で輪姦することもあった。太ももの「正」の文字が増えていき、やがて二列に並び、すぐに三列になった。文字が薄れると書き直された。昼休みに部室に連れ込まれて強姦されるので、午後の授業にはほとんど出なくなった。朝は新垣たちにトイレに連れ込まれて暴行された。全裸にされてバイブオナニーをさせられたり、紙コップでおしっこを飲まされたりした。長沢くんもあたしを避けるようになった。

 どうして登校を続けたのかよくわからない。強姦ビデオが学校中に出回り始めているのには気づいていた。なのに学校に通い続けた。ちゃんと学校に行っていてもお母さんが迎えに来ることなんてないってわかってたのに。たぶん、もう壊れていたんだ。

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