第10話 止まった時間 (06)
もなかさんが顔を近づけてきた。どうやら、自分にできることがあるらしいと感じて、期待しているようだ。
「……おっぱい」
「え?」
「あ、いや、なしッ。いまのなしッ。わたし、ママのおっぱいをねだる癖があって、すごく子供っぽいっていうか……。その、忘れてください」
もなかさんが、くすっと笑った。
「甘えん坊さんですね、お嬢さまは」
そして、体を起こすとTシャツを脱いだ。きれいな形で張りのある乳房があらわになった。ママのおっぱいより大きい。
「わたくしのでよければ、どうぞ」
もなかさんはこういう冗談を言う人ではない。わたしも体を起こして、もなかさんの優しい目を見つめた。もなかさんは恥ずかしそうに目をそらして、ほっぺたを赤くした。
「お母さまだと思って甘えていいのですよ」
「もなかさん……」
声がちょっと震えた。
やだ、わたし。ドキドキしてる。性的な意味で興奮してる。
ゆっくりと、もなかさんの胸に顔を近づけた。きれいな桜色の乳首を見つめる。
目を閉じて、もなかさんの乳首を口に含んだ。
「赤ちゃんみたいですね。なんだか妙な気持ちです。わたくしのような人間でも母性を刺激されているのでしょうか」
もなかさんが両腕をわたしにまわして、そっと抱きしめた。
ママのおっぱいを吸っているときと同じような優しさに包まれた。でも、ママのときとは違って、心臓の鼓動が激しくなっている。
「あ……ッ」
もなかさんが小さく声をあげた。感じちゃったのかな。
ちゅうちゅうと吸いながら、もなかさんの体をうしろに押した。もなかさんは体をベッドに横たえ、わたしはもなかさんの上に体を重ねた。
柔らかかったもなかさんの乳首が、わたしの口の中でだんだん硬くなってきた。
もなかさんのお言葉に甘えて、ママにするときと同じようにおっぱいを吸うだけのつもりだったんだけど……。
やーん、手が勝手にもなかさんの乳房を揉み始めてるぅ。
「ああっ、お嬢さま、そんなに胸を揉まないでください」
「ごめんなさい、もなかさん。でも、すこしだけ甘えさせて」
もなかさんの乳房を両手でゆっくりと揉みながら、交互に乳首を吸った。
もなかさんの体が小さく震えている。もなかさんはオナニーとかしていなさそうだ。たぶん怖いのだろう。わたしだって初体験のときはちょっと怖かったもの。
乳首を咥えたまま、パジャマのボタンをはずして上着を脱いだ。もなかさんが身につけているのはパンツだけ。わたしもそうしたい。足を使ってズボンも脱ぎ捨てた。
肌と肌を密着させる。
「もなかさんのこと、大好き。イヤだったら言ってね」
乳首を吸うだけでなく、舌先で転がすように舐める。
乳房を揉みながら、同時に乳首を指ではさんで刺激する。
お父さんにしてもらったことを思い出しながら、もなかさんを愛撫する。
「お嬢さまったら……。お母さまだと思って甘えていいとは申しましたけれど、これではまるで――」
「恋人みたい?」
「いや、その……、そう、そのとおりですわ」
ここで恋人同士みたいという発想が出るのは、もなかさんが同性愛を嫌悪しているわけではないということを示している。もなかさんはレズビアンに理解がないって、あずきさんは言ってたけど、やっぱり本心は違うんだ。
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