創世記6:5-22

洪水の予告


・ゴフェル:ホリネズミの木(または梁) これも他では見られない言葉ですが、背が高く直立した常緑樹であるヒノキを意味し、耐久性が高く、古くから造船で高く評価されていました。


・アンマ:約45cm


1.神様の後悔

『6:5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、6:6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。』

 人を創造された神様は、人の悪が増えていくこと、そして悪いことばかりを思い計っているのを見ました。ここで言う悪とは、「邪悪である」との意味ですが、規則に従わない等との基準があっての悪ではありません。ですから、「悪だから滅ぼす」と言う心情はわかるのですが、一方的に罰を加えることは、合理的ではありません。

 神様がモーセを通して十戒を民に伝えるまでは、法が無かったわけですから、無法地帯だと言えます。人を法で縛らなければ、人は何でも勝手なことをするでしょう。しかし、十戒に書いてあることは、法がなかったにしても神様の目でみれば、当然守らなければならないことです。人は、自分を律して悪を行わないことが、出来ませんでした。それは、神様がそのように人を造らなかったからです。


 残念ながら、出来の悪い人ばかり。神様は、人を造ったことを後悔します。そして、人だけではなく、すべての生き物を一緒に滅ぼそうと考えました。ところが、ノアだけは悪に染まっていませんでした。さて、ノアをどうしたらよいのでしょうか? 一人だけ生き残っても、ノアは途方に暮れるでしょう。ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。とあるように、ノアを滅ぼす理由はありません。

2.ノアへの宣言

  『6:11 この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。6:12 神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。6:13 神はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。』

 「不法」と訳されている言葉は、残虐行為、損害、虚偽、不正、抑圧者、不義、暴力を指します。これらのことは、神様と共に歩んでいるならば、しないはずです。法がないから無法地帯となったと言うよりは、神様と共に歩まなかった人々は、肉なる者となり、その堕落が進んでいきました。肉欲に生きていると、全てが自分中心になって、神様が悪と思うことばかりをしてしまうからです。


神様はノアに告げます。

「すべての肉欲に生きる人を滅ぼす時が来た。彼らのために暴力が地に満ちている。私は地上ごと彼らを滅ぼす」

3.箱を造りなさいとの指示

 原文には「箱舟」ではなく、箱を造りなさいとあります。たぶん、ヒノキの角材を使えとの指示です。小部屋をたくさん作ったうえに、防水のためでしょう、タールを塗る指示も出ています。灯り取りの小屋根は1アンマの高さに。そして三階建ての指示です。また、戸口をつけなさいとまで・・・


長さ150m巾25m高さ15mの表面積は、12,750㎡ 20cm角3m長の 角材だと、外側だけで191,250本なので、ノアとノアの家族がどうあがいても、これだけの木を準備することは困難であります。

4.洪水をもたらす

『 6:17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。』

 この宣言をもって、洪水への備えが始まります。

まずは、ノアですが神様は契約を立てます。神の約束は、

「生き物すべてを滅ぼすときに、ノアの家族と嫁、そしてすべての生き物のつがいを生き延びさせる。」

ノアの約束は、その準備を神様の指示に従って実行することです。