使徒13:1-12

第一回伝道旅行

 

 

1.第一回伝道旅行

 アンティオキアの教会は、預言する者や教師がそろっていました。もうすでにキリスト教伝道の一大拠点となっていたようです。名前がたくさん上がっていますが、バルナバが使徒言行録に多く出ている事、サウロは迫害者であった後のパウロである事以外は、よくわかりません。また、ヘロデと一緒に育ったマナエンは、ヘロデ・アンティパスと一緒にローマで育てられたということで、最高の教育を受けていたと思われます。これらの教師たちがそろっていることで、外国人への伝道のために教師を派遣する用意が出来たことになります。

(使徒言行録を書いたルカも、これほど細かいことを書けるのは、アンティオキアにいるからだと思われます。)

聖霊は、バルナバとサウロを指名し、キプロス伝道に二人を派遣するのでした。ちなみに、バルナバはキプロス出身ですので、キプロス伝道に特別な思いがあったと思われます。

『4:36 たとえば、レビ族の人で、使徒たちからバルナバ――「慰めの子」という意味――と呼ばれていた、キプロス島生まれのヨセフも、4:37 持っていた畑を売り、その代金を持って来て使徒たちの足もとに置いた。』

アンティオキアの教師たちは、二人の頭に手を置いて、祈りました。これは、祝福であり、そして任命・派遣の儀式でもありました。

 

 

 

2.キプロス宣教

  ユダヤ人の諸会堂というのは、シナゴーグの事です。まだ、キリスト教はユダヤ教の中にいましたから、ユダヤ人のいる町に必ずある、シナゴーグが伝道の拠点となります。

 バルナバとサウロが、総督に会う機会がありました。二人は総督にイエス様のことを熱心に話したのでしょう。魔術師エリマは、これを邪魔しようとします。当時のことですから、政治と宗教は切り離せません。そして、魔術も使われたと思われます。そういう意味で、最大の権力者である総督の傍で、政治的、宗教的アドバイスと、時々見せる不思議な魔術を使って、国を支配していたものと思われます。当然ながら、いまの魔術師の地位を守るためにバルナバとサウロの邪魔をしようとなにかをしたのでしょう。サウロは、その魔術師をにらみつけて、

『13:11 今こそ、主の御手はお前の上に下る。お前は目が見えなくなって、時が来るまで日の光を見ないだろう。」』と言います。そのとき、サウロは聖霊から力を与えられていたのです。

 魔術師は、人に手を引いてもらわないと歩けなくなってしまいました。こうして、魔術師以上に驚きの業をサウロは総督の前でして見せました。イエス様が、この二人に与えられたこの奇跡の業をみた総督は、この奇跡を見たので、信仰に入りました。もともと、この二人の教えに興味はあったと思われますが、その奇跡の業があって、よほど真剣にその教えに聞き入ったのでしょう。そして、またその教えを熱心に聞いて二度目の驚きがありました。