ルカ21:1-19

 終末の徴

 

1.やもめの献金

 1レプトンは、デナリの1/128です。1デナリを8,000円として計算すると、125円になります。イエス様は、金持ちたちが献金をささげる様子を見ていました。堂々と、惜しむことなく・・と言うか見せびらかすように多額な献金をしていたのでしょう。そのあと、目立たないようにしてこっそりと やもめが献金します。その献金は、可能な献金額の下から二番目です。彼女には、レプトン2枚しかありませんでしたが、レプトン1枚ではなく、持っていた2枚すべてを捧げました。神様に感謝を捧げたかったからです。余ったお金を捧げるのではなく、いま必要なお金までを 感謝して捧げました。神様は、このやもめの方に多くの恵みを与えるでしょう。


2.神殿の崩壊を予告する

 イエス様の活躍した時代は、紀元30年あたりであります。その時にあったエルサレムの神殿は、バビロン捕囚から帰還した後に再建した第二神殿です。これは、紀元前515年に再建が完了した神殿でありますが、ユダの王様であったヘロデ大王が大規模に改修したものです。紀元68年にユダとローマの間で戦争が起こり、紀元70年にエルサレムの神殿は焼け落ちてしまいました。ヘロデ大王の改修工事は、アグリッパ2世のときまで続けられており、誰もが目を見張るような立派な建造物だったと伝えられています。その神殿に見とれていた人を見て、イエス様は、神殿すべてが取り壊されてしまうことを予告しました。実際に、40年後に起きること(イスラエルは完全に無くなること)を、イエス様は知っておられたのです。


3.終末の徴

 表題には終末とありますが、「そのこと」は、直前の記事の神殿崩壊の事なのか、関係がないのか読み取れません。マタイ24:3-8、マルコ13:3-8の並行記事を見ますと、場所はオリーブ山で座っている場面であります。そして、マタイにだけは「あなたが来られて世の終わるとき」と書かれています。この手がかりで、神殿崩壊のことではないことが、判明します。

『21:8 イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがそれだ』とか、『時が近づいた』とか言うが、ついて行ってはならない。21:9 戦争とか暴動のことを聞いても、おびえてはならない。こういうことがまず起こるに決まっているが、世の終わりはすぐには来ないからである。」』


  偽預言者、偽メシアがたくさん現れては「私が救い主だ」とか、「終末の時が近づいた」と偽の情報を流すことをイエス様は予告しました。人を惑わすことで、莫大な献金を集める偽宗教家はいつの時代でもいます。例えば、終末が来るなら「遊んで暮らしていた方がまし」とか「財産は週末を迎える前に全部使い切ろう」とだれでも思ってしまうでしょう。ですから、終末が来ると声高に言って回る人が多ければ、浮足立ってしまって通常の生活が壊されることが考えられます。また、戦争や暴動は、終末の到来と関係なく、いつの時代にでもあることです。だから、1つの戦争や1つの暴動で、終末と結び付けて大騒ぎする必要はありません。そもそも、終末はすぐには来ないからです。しかし、パウロの活躍した時代は、すぐに終末が来ると思って、怠惰な生活をしていた人々がいることが伺われます。

Ⅱテサロニケ『3:10 実際、あなたがたのもとにいたとき、わたしたちは、「働きたくない者は、食べてはならない」と命じていました。3:11 ところが、聞くところによると、あなたがたの中には怠惰な生活をし、少しも働かず、余計なことをしている者がいるということです。』


 終末の時『民は民に、国は国に敵対して立ち上がる』。そのときの始まる前に 裁きがあります。「そのとき、裏切りにあうし、中には殺される者も出ますが、イエス様が言葉と知恵を授けるので、弁解せずに堪えれば、命を勝ち取ることが出来る」とのその裁きについてのイエス様の説明です。(時系列に並び替えました)


 ①『人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために王や総督の前に引っ張って行く。』

 ②『前もって弁明の準備をするまいと、心に決め』る。

 ③『どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授ける』

 ④王や監督の前で、『あなたがたにとって証しをする機会となる。』

 ⑤『あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。』『忍耐』する。

 ⑥『あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。』『命をかち取』る。